Digital Marketing Institute | デジタルマーケティング研究機構

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統合型マーケティング導入企業で高まる、ブランディング目的でのデジタル広告 ――日経広告研究所「広告動態調査」をWeb研が同研究所と共同で分析

  • 掲載日:2017年8月4日(金)
  • 委員会・ワーキンググループ:コミュニケーションプランニング委員会

公益社団法人日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会(所在地:東京都中央区銀座 代表幹事:田中 滋子)は、日経広告研究所に委託して、同研究所が主要広告主を対象に2016年11~12月に実施した調査データを使って、「デジタルやマス広告をトータルで考える統合型マーケティング(メディアプランニング)」への取り組みの現状を共同で分析した。その結果、回答した有力広告主の3割強を占める統合型マーケティングの導入企業の中では、ブランディング目的でデジタル広告などインターネットを利用している企業が8割強に上っていることが明らかになった。また、導入企業では、ソーシャルメディアの効果や、消費者の複数メディア同時接触への対応などを重視していることも浮き彫りになった。

この調査では、「従来のマスメディアを使ったマーケティングと、デジタルメディアを活用したマーケティングを統合したマーケティング戦略として『統合マーケティングコミュニケーション(IMC)』や『統合型メディア戦略』の考え方」を導入しているかを尋ねている。該当した32.0%を、統合型マーケティング導入企業として調査データを分析した。
今回の分析によると、統合型マーケティングの導入企業が統合型キャンペーンを実施する際に利用するメディアはインターネットが最も多く、テレビがこれに次いだ。インターネットの利用目的(複数回答)では、「企業ブランドの構築」または「商品ブランドの構築」が84.7%を占めた。未導入企業でのこの割合を28.7ポイントも上回っており、ブランディング目的でデジタル広告を利用している企業が多いことが窺えた。
広告業界の最近のトピックスのなかで、統合型マーケティング導入企業が重要と考える項目で最も多いのは、ブログ、SNSなどのソーシャルメディアの効果で、消費者の複数メディアの同時接触がこれに次いだ。

【分析した調査の概要】

・日経広告研究所の「広告動態調査」(2016年11~12月に実施)
・調査対象 広告宣伝費の上位企業を中心にした512社
・回答企業数 266社(回収率52.0%)
・調査方法 調査票留置法と郵送法の併用

【調査結果のポイント】

1.テレビとインターネットが利用媒体の中核に――統合型キャンペーンを実施する際の利用媒体
統合型マーケティング導入企業は、様々なメディアを組み合わせてキャンペーンを展開している。組み合わせで利用するメディアを複数回答で尋ねた結果では、「インターネット」が94.1%で最も多く、「テレビ」が84.7%でこれに次いだ(図表1)。これに「自社ホームページ内のキャンペーンサイト」「SNSや動画サイトなどのアカウント」「新聞」「雑誌」「交通広告」「イベント」の順で続く(「雑誌」と「交通広告」は同率)。 この中で、実施する際の中核となる媒体を一つ挙げてもらった結果をみると、テレビが48.2%でほぼ半数を占め、インターネットが25.9%でこれに続いている。「自社ホームページ内のキャンペーンサイト」「SNSや動画サイトなどのアカウント」を含めた広義のインターネットを中核に挙げた企業は38.9%と40%近い。テレビとインターネットが、統合型マーケティング企業の利用媒体の中核となっている。 このことは、統合型マーケティング導入企業の広告宣伝費の媒体別配分率(前年度の広告宣伝費をウェイトとした加重平均)にも反映していると思われる。統合型マーケティング導入企業では、地上波テレビの配分率は52.9%と50%を超え、最も高い。これに「モバイルを除くインターネット」が8.9%で続いた(「モバイル」は4.4%)。前年調査(2015年11~12月に実施)でも回答を得ていた統合型マーケティング導入企業について集計して比較すると、地上波テレビは前年の57.0%から今回の52.9%へ4.1ポイント低下、逆に「モバイルを除くインターネット」は前年の7.6%から8.9%へ1.3ポイント上昇、また「モバイル」は前年の2.1%から4.4%へ2.3ポイント上昇した。インターネットの配分率が前年より上昇したことが分かった。




2.「企業ブランドの構築」「商品ブランドの構築」にインターネットを利用――統合型マーケティング導入企業でのインターネットの利用目的
インターネットの利用目的を尋ねた質問(複数回答)では、統合型マーケティングの導入企業の74.1%が「商品ブランドの構築」を、また68.2%が「企業ブランドの構築」を挙げている(図表2)。未導入企業ではいずれも40%台にとどまっており、統合型マーケティング導入企業のほうが、「商品ブランドの構築」で30ポイント以上、また「企業ブランドの構築」でも20ポイント以上も上回っている。 「商品ブランドの構築」と「企業ブランドの構築」のいずれかを利用目的にしている企業の割合を計算すると、統合型マーケティングの導入企業では84.7%に達している。未導入企業でのこの割合は56.0%で、導入企業はこれを28.7ポイントと大幅に上回る。 こうしたインターネットの利用目的と、統合型キャンペーンで組み合わせて利用する媒体としてインターネットを挙げる企業が94.1%を占めていたことをあわせて考えると、ブランディング目的でデジタル広告を活用している企業が多いことが明らかになった。




3. ソーシャルメディアの効果と複数メディアの同時接触を重視 ――重要と考えている広告業界の最近のトピックス
広告業界の最近のトピックスを20項目挙げて「重要な問題と考える」ものを挙げてもらったところ、統合型マーケティング導入企業の72.9%までが「ブログ、SNS、ツイッターなどのソーシャルメディアの効果」を挙げ、最も多かった(図表3)。未導入企業でこの項目を挙げた割合に比べ16.9ポイントも多かった。 2番目に多かったのは、6割近くが挙げた「消費者の複数メディアの同時接触」で、やはり、未導入企業での割合を大きく上回った。3番目に多かった「スマートフォン、タブレットの急速な普及」では未導入企業のほうが上回った。 未導入企業の挙げた割合では、「スマートフォン、タブレットの急速な普及」がトップだった。この点は、統合型マーケティング導入企業にとっては織り込み済みとも見られ、スマートフォン、タブレットの普及を背景に、利用が本格化しているソーシャルメディアや、複数メディアの同時接触という新しいメディアの利用スタイルの影響に関心が強まっていると思われる。




4. 統合型導入企業は販売促進、商品開発と連携――最も密接に連携する部署
「最も密接に連携する部署」について、統合型マーケティングの導入企業と未導入企業を比較すると、導入企業では「販売促進」が49.4%と50%近くだったのに対して、未導入企業が38.6%にとどまった。「商品開発」の部署との連携でも、導入企業では47.1%なのに対し、未導入企業では30.7%にとどまった(図表4)。統合型マーケティング導入企業では、販売促進や商品開発など、マーケティングに関わる広範囲の部署との連携を図っている企業が、多いことが特徴である。 これに対して、「広報」や「経営企画」では導入企業は未導入企業に比べ、挙げた企業の割合はかなり低い。 「営業」も、導入企業の方が未導入企業より挙げた割合が低いものの、その差は4.2ポイントと小幅で、いずれも、挙げた割合は50%前後と他の部署に比べ高い。



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