Digital Marketing Institute | デジタルマーケティング研究機構

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2010年12月14日開催 Web広告研究会12月月例セミナーレポート(1)「消費者メディアの利用者とは」ソーシャルメディアでのコミュニケーションの実態を調査 イベント報告

  • 掲載日:2011年1月13日(木)
  • 委員会・ワーキンググループ:ソーシャルメディア委員会

「消費者メディアの利用者とは」
ソーシャルメディアでのコミュニケーションの実態を調査


2010年12月14日に行われた第8回Web広告研究会月例セミナーは、「消費者メディアの利用者とは」と題され、2つの調査結果から消費者メディアのユーザー像を探るセミナーとなった。第1部では株式会社日経BPコンサルティングの河村智仁氏が、同社が独自に行った「ソーシャルメディア利用実態調査」について報告し、第2部では消費者メディア研究委員会の委員長である本間充氏が「消費者メディア研究委員会の証左予定報告」を行い、第3部では本間氏をモデレーターとし、河村氏に加えて株式会社電通の森直樹氏と株式会社ニューズ・ツー・ユーの平田大治氏の4名によるトークセッションが行われた。

ソーシャルメディアとの関わりから
5つのセグメントに分けて行動を調査


第1部で登壇した河村氏は、「オンライン行動属性で見たソーシャルメディア」と題し、ソーシャルメディア利用実態調査の調査結果と分析を発表した。オンライン行動を中心とした利用者、プラットフォームの利用実態、企業認知や接触の影響などを分析し、ソーシャルメディア利用者へのアプローチを考察している。

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株式会社日経BPコンサルティング
河村 智仁氏


ソーシャルメディア利用実態調査では、SNSだけでなく、CGMまで含めた29のプラットフォームが調査対象となっている。調査期間は2010年6月末頃で、調査対象者はソーシャルメディアにアクセスした経験のある18歳から69歳までの男女とし、6つの年代と男女の計12セルに分け、各100人ずつ計1200人となっている。今回の調査では、ソーシャルメディアを通じて「どんな人が利用」し「どこで何をしているか」を探り、「企業のメッセージが届いているか」を知るために、対象者に対してアンケートを行った。

利用者を知るために同調査では、ソーシャルメディアへの関わり方の深さに応じてオンライン行動属性を5つのセグメントに分けている。ソーシャルメディアの閲覧や投稿など、月に1度以上行動する人を対象として、会話のテーマ設定、SNSのコミュニティやまとめサイトの作成、イベントの企画・運営・中継などを行う人を「コーディネイター」、作品の公開や特定テーマのブログ執筆を行う人を「クリエイター」、レビュー投稿や質問への回答、コメントのやり取りなどを行う人を「参加者」、投稿された作品やブログ、レビューなどを読んでいる人を「観察者」、いずれの活動にも参加しない人を「不参加者」と位置付け、行動属性別の特徴や行動を探っている。

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5つのオンライン行動属性

これらの属性別に「コミュニティサイトやSNSを情報源としている割合」を調べると、コーディネイターが最も高く、情報発信側よりも不参加者が最も低いという、ソーシャルメディアへの関わり方の深さに比例する結果になった。また、「企業ID(アカウント)の認知率」という調査でも同様に、関わり方の深い属性の認知率が高くなっている。これらの結果について河村氏は、「コーディネイターやクリエイターといった情報を発信する層に対して、嗜好に合う製品やサービスを持った企業が接触すれば、インフルエンサーとしての役割が期待できる」とする一方で、「それによって及ぶ影響の範囲についてはアプローチしたい層にフォーカスした検証が必要」だと説明した。また、若年層ほど活発な行動を行っており、プラットフォームごとのオンライン行動属性の比率、性年代別のソーシャルメディア利用傾向、ソーシャルメディアの評価理由(情報・知識重視か、暇つぶしか)、プラットフォームの利用率とID登録率なども発表された。

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性年代別のソーシャルメディア利用傾向

「企業のメッセージが届いているか」という調査では、まず企業アカウントを知っているかどうかの結果が示され、ソーシャルメディア上で企業IDやアカウントを見たことがある人(接触)が28.9%、見たことがある企業や製品・サービスの具体的な名称までアンケートに記述できた人(想起)が14.0%という結果となった。

企業アカウントに接触した28.9%に対して意識変容を調査すると、「その企業(製品・サービス)への興味や関心が深まった」と答えた割合が全体の40.9%になり、ここでもソーシャルメディアへの関わり方が深い層ほど割合が高い結果となっている。また、接触後の行動については、「その企業(製品・サービス)のWebサイトにアクセスした」と答えた割合が全体の34.0%となっている。アクセスした割合は、観察者、参加者、クリエイターが35%~38%の間にとどまるのに対し、コーディネイターは51%となっており、関心度の高さが示された。

続いて、これまでの調査をふまえた上で、オンライン行動属性ごとの利用者へのアプローチとして有効な手段が説明された。「コーディネイター」「クリエイター」「参加者」の上位3層に関しては、オンライン上での発言や影響力を分析するためのブランドモニタリングが有効で、さらに「観察者」を加えた上位4層に対しては、自社サイトに限られるがアクセス解析による分析が有効だ。また、「不参加者」まで含めたすべての層に対してはアンケート調査やデプスインタビューが有効とされた。その上で、「オンラインで語られていること」「Webサイトの動き」「デジタルデータに現れない意識や行動」の3つを把握することによって、ソーシャルメディアの施策を最適化する必要があると河村氏は説明した。

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ソーシャルメディア利用者へのアプローチ

最後に、河村氏は日経BPの各メディアでソーシャルメディア利用実態調査に関連した記事として、IT Proの「データで知るソーシャルメディアの利用者像」、日経トレンディネットの「クリエイター? 観察者? ネット上であなたはどのタイプ?」を紹介し、調査結果とともに参考にしてほしいと話して第1部を終えた。

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