Digital Marketing Institute | デジタルマーケティング研究機構

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2010年12月14日開催 Web広告研究会12月月例セミナーレポート(2)ソーシャルメディア利用者の行動を調査する意味 イベント報告

  • 掲載日:2011年1月13日(木)
  • 委員会・ワーキンググループ:ソーシャルメディア委員会

(前ページ)2010年7月14日月例セミナー第一部


ソーシャルメディア利用者の行動を調査する意味

第2部では、日経BPコンサルティングによる調査を受けて、消費者メディア研究委員会が日経リサーチと共同で行った「ソーシャルメディアユーザー調査」の内容について本間氏から発表が行われた。同調査では、2010年11月初旬にソーシャルメディアのヘビーユーザー層をスクリーニング調査で抽出・実施(20歳から69歳男女、2万7973サンプル)し、12月初旬に一般ユーザー800名・ヘビーユーザー800名を多角的に比較分析している。ヘビーユーザーの定義は、「Facebook、マイスペース、モバゲータウン、GREEのいずれかに週1日以上書き込みをする人」とし、一般ユーザーは「Twitter、mixiのいずれかに週1日以上書き込みをする人」とした。セミナー開催時点では、調査の集計段階であったが、12月中旬にヘビーユーザーに対するグループインタビューを予定しており、その結果については2011年1月末には発表できるとのことだ。

現在利用しているサービスについて調べてみると、mixiやTwitterが非常に多い結果となっているが、ソーシャルメディア利用実態調査が行われた6月時点よりもFacebookが大きく伸びていることが特徴的だ。また、毎日2回以上書き込みするサービスとなると、mixiよりもTwitterの利用数が多く、毎日2回以上Twitterに書き込む層は全体の平均よりもフォロー数やフォロワー数が多くなっているという結果も示された。さらに、mixi、Twitter、Facebookにどのデバイスでアクセスしているかの調査も行われ、FacebookへのアクセスにMac、iPad、iPhoneなどアップル社のデバイスが多く使われていることが特徴的な結果となった。

本間氏は、これらの調査結果をもとに「ヘビーユーザーへのグループインタビューで、メディアへの接触方法や行動などを聞いていきたい」と話した。その上で、このような調査を行う意味について、パネリストである日経BPコンサルティングの河村氏、電通の森氏、ニューズ・ツー・ユーの平田氏とのディスカッションから第3部が開始された。


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花王株式会社/Web広告研究会 消費者メディア研究委員会 委員長
本間 充氏

特定のメディアではなくソーシャルメディア全体の利用者を調査

広告代理店の立場である森氏は、「生活者がソーシャルメディアを利用する時間が大きくなり、この2年間で広告主もソーシャルメディアを使った活動が活発になってきた。実際に生活者のソーシャルメディア上の行動によって、企業のマーケティング活動がどの程度影響を受けるのかを、量的にも質的にも明らかにしたいという需要は増えてきているし、電通としても非常に関心がある」と話した。

また、ソーシャルメディアに関するコンサルティングも行っている平田氏は、「ソーシャルメディアのヘビーユーザーである、自分たち(パネリスト)とは異なるクラスタの人たちの行動を知りたい、というのが消費者メディア研究委員会で調査を始めた発端だったと思う」とした。さらに、ソーシャルメディア利用実態調査を行った河村氏は、その理由について「これまでは特定のサービスに対する調査が多く、Twitterに関する調査ばかりが目立っていた。肌感覚で情報を収集するのではなく、一歩引いて複数のサービスを対象とした情報をデータとして残しておかないといけないと感じて調査を行った」と話した。

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株式会社電通
森 直樹氏

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株式会社ニューズ・ツー・ユー
平田 大治氏

これに対して本間氏は「ソーシャルメディアマーケティングを行う人にとってはFacebookがバズワードになるが、実際にはFacebookの利用者はそれほど伸びていないことを客観的に見られる数字が今まで少なかった」と話すと、河村氏も「たとえば、実名でTwitterに登録する人は自分の周りでは多いが、調査してみると実名で登録する人は一般的には少ないことがわかる」と話し、自分の使い方が肌感覚となって、それをもとに施策を立ててしまわないためにも、一般の生活者の行動を調査することには意味があることを示した。

本間氏から「今回の調査は使っている人を知りたいのか、メディアの特徴を知りたいのか」と話しが向けられると平田氏は、「人がわからなければ、実際にソーシャルマーケティングをどうやればいいのかがわからない。しかし一方で、人ばかりに注目しすぎると、目の前の人ばかりを対象としてしまい、多くの人にリーチしないマーケティングとなることもある。俯瞰的に人を見ることができたという点で、今回の調査は意味がある」と話した。

続いて、調査結果を見ながら本間氏は「コーディネイター層はソーシャルメディアでリーダーシップがあり、波及効果が高いといわれている。しかし、マスメディアとは異なりソーシャルメディアはリーチできる範囲が少ない。コーディネイターの波及効果が高いからソーシャルメディアは重要、ということが果たして言えるのか」と話題を振る。これに対して、森氏は「Twitterでは、アルファブロガーのような急激な波及ではなく、人と人とのつながりでじっくりと広がっていくが、最近では急激な波及効果ではなく、コミュニケーションの質を上げることを意識した広告主が増え、使い分けるようになってきた。代理店でも、ソーシャルメディアのリーチの効果についてはあまり言わなくなってきていると思う」と答えた。

ブログからmixi、mixiからTwitterという流れがあったなかで、TwitterからFacebookへという流れがあるのか、という話題も議論された。今後、Facebookの利用者が増えていくと予想されるなかで、来場者へのアンケートも行われたが、「ブログをやったことはないが現在Twitterをやっている」という新たな世代も多く、大いに話題が盛り上がった。

ソーシャルメディアは競合のモニタリングに最適

次に本間氏は、ソーシャルメディア利用者へのアプローチに関して「河村さんの調査で面白かったのは、企業がアクションするときにブランドモニタリングをコーディネイター、クリエイター、参加者に行えるということ。ブランドモニタリングは競合を知る上で重要だが、それ以外にソーシャルなユーザーを知ることで企業やコミュニケーションに活かせるものはあるか」と河村氏にたずねた。

これに対して河村氏はデバイスの違いをあげ、「行動調査とともに、どのようなデバイスを使っているかも組み合わせて考えるのは有効。たとえば、急速に増えているスマートフォンのユーザーは他のデバイスのユーザーとは異なる行動をとることも考えられる。アクセス解析でスマートフォンのユーザーを分けてみることもできると思う」と答えている。

また、森氏は「今後はリアルタイムにキャンペーンの結果を知るということが重要になる」と話し、「米国ではすでにキャンペーンを回しながらモニタリングし、その結果をすぐにキャンペーンに反映するという取り組みが行われているが、ソーシャルメディアでリアルタイムに情報を活用するという新たなマーケティングモデルが出てくる」と話した。

また、未だにソーシャルメディアは特殊な人が使っていると考えている担当者も多いのではないか、という議論も行われた。森氏は「コーディネイターやクリエイターはともかく、観察者や参加者には一般の生活者や消費者が多く含まれており、彼らがコーディネイターやクリエイターの影響を受けてコミュニケーションが広がっていく」と広告主などに説明していると言い、平田氏も「観察者や参加者がマジョリティで、コーディネイターやクリエイターばかりがソーシャル上にいるわけではない」と話した。

さらに平田氏は「バズワードとしてのソーシャルメディアやTwitterに注目が行きがちだが、実際には生活者と会話をすることで何かを生み出したい、という発想でプランニングが行われ、マーケティング活動に活かすもの。生活者や消費者が何を考えて行動しているのかという普通のマーケティング手法をソーシャルメディア上で行えるようになってきている」と話し、メディア主体で何をするのかを考えてマーケティングを行うべきではないと説明して、「ソーシャルメディアは特殊な人が使うものではなくなってきていることを示せれば、インターネットやソーシャルメディアに予算を使えるようになる」と期待を寄せた。

一方で、まだ国内では利用者が少ないFacebookも広告主から相談があれば勧めているという森氏は、「Facebookは、企業が活動しやすいソーシャルメディア。人数が少ないうちから始めておけば、コミュニケーションも取りやすく、トライ&エラーが行える環境でミスしたときのリスクも少ない」と話した。しかし、現状ではTwitterを使った案件が多く、Facebookを利用しようと考える企業は少ないようだ。また、“ソーシャルメディアを始める”ということは企業アカウントやファンページを作るということではなく、関連するコミュニティや競合のアカウントをチェックすることも“始める”ことになるといった話や、ブランドモニタリングは自社のブランドだけでなく、競合のブランドをモニタリングすることも重要といった議論もされた。ソーシャルメディアは、競合の調査を行いやすい最適な場所、という本間氏の意見も興味深い。

今回のパネルディスカッションでは、Twitterを使った質疑応答や、今後の調査に含めてほしい要望などが募集され、さまざまな意見も寄せられている。特に、調査項目に加えてほしいという要望は多く、今後の調査に活用されていきそうだ。

最後に、今後のソーシャルメディアについて、使うツールが変わってきてもソーシャルメディアによるコミュニケーションは変わらず続き、次第に当たり前のものとなり、マーケティングにどう使うか、ということを議論すること自体がナンセンスとなるといった話がなされ、今後の消費者メディア研究委員会の活動についても話は及び、「今後もさまざまな調査や研究を行っていきたい」と本間氏が話し、セミナーを終了した。