Digital Marketing Institute | デジタルマーケティング研究機構

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2011年2月21日開催 Web広告研究会 第23回WABフォーラムレポート(1)第一部「Digitalコミュニケーション時代に求められる企業の変革。ソーシャルメディアの成功事例に学ぶソーシャルマーケティング」 イベント報告

  • 掲載日:2011年3月30日(水)

【第23回WABフォーラムレポート 第一部】

Digitalコミュニケーション時代に求められる企業の変革
ソーシャルメディアの成功事例に学ぶソーシャルマーケティング


社団法人日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会は2011年2月21日、東京の時事通信ホールで「第23回WABフォーラム」を開催した。今年最初のWeb広告研究会のイベントとして、フォーラムでは2011年の「Web広告研究会宣言」が行われ、ソーシャルメディアとどのように関わり、ソーシャルマーケティングをどのように行うかが2つのパネルセッションで議論されていった。


Digitalコミュニケーションの人材育成と
アイデアの提供を行っていくWeb広告研究会


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社団法人日本アドバタイザーズ協会
専務理事(当時)
小林 昭氏

開会の挨拶に登壇した日本アドバタイザーズ協会専務理事(当時)の小林昭氏は、「ここ数年で、テレビ、ラジオ、活字などのあらゆるメディアのデジタル化が進められ、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアの登場で、生活者そのものがコミュニケーションの方法を大きく変えてきている」と話した。一方で「このように状況が変わっても、企業内ではマスメディアを中心に広告活動を行う部門とインターネットやWebを使ったコミュニケーションを行っている部門が組織的に別々になっているところが多い」と話し、企業のコミュニケーションを行う部門を1つにしなければならないことを示し、来年の公益法人への完全移行を目指している日本アドバタイザーズ協会も、Web広告研究会と一緒になって活動することで幅が広がるとした。

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社団法人日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会
代表幹事
本間 充氏


続いて登壇した日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会 代表幹事の本間充氏は、2011年のWeb広告研究会(WAB)宣言として「ポスト検索~変わる生活者、Digitalコミュニケーションに向けて~」を発表。「ポスト検索」の意味について、「Yahoo!やGoogleのような検索エンジンが当たり前となっている一方で、ソーシャルメディア上での検索活動が活発になってきている。これまでのスタティックな検索だけでなく、コミュニケーション内の検索が非常に増え、生活者がそれを便利なものと理解している」と話した。

「従来の検索エンジンがなくなるということではなく、検索エンジンの上にコミュニケーションの検索があるということを考えなければならない」と説明する本間氏は、「生活者のコミュニケーション環境の変化」「企業のコミュニケーション担当者の育成」「生活者とコミュニケーションするための組織・チーム作り」の3つをキーポイントとしてあげた。

「マスメディアも含めてデバイスが変わり、ネットにおいてもかなりの数の生活者が発信・発言・検索などを行うようになってきた。モバイル端末からネットに書き込みするということも普通のことになり、それらと一広告主のサイトが対等に見られてしまうということに我々はどう向き合っていかなければならないか」と提言した本間氏は、「それを見据えて企業のコミュニケーション担当者の育成を行う必要があり、生活者とコミュニケーションするための組織作りやチーム作りが最も重要となる」とした。また、「さらに生活者を中心にコミュニケーションするチームを具体化していく必要性もある」と話し、それが今後の課題であり、より良いコミュニケーションを顧客と行うために必要となることを説いた。

今回のWAB宣言を受けてWeb広告研究会では、「Digitalコミュニケーションの人材育成」と「Digitalコミュニケーションのアイデアの提供」を行っていく。多くの企業で急務となっている人材育成に関しては、Web広告研究会としても大きなテーマであるため、専門的な知識を提供して次世代のリーダーの育成に寄与する。また、Digitalコミュニケーション成功事例を各委員会やセミナーを通じて情報交換していくことで、企業の実業に活かせるようなアイデアを提供していく。

最後に本間氏は、「この宣言を具現化していくためにも、引き続きWeb広告研究会に参加していただき、新しいDigitalコミュニケーション時代に向けた議論を活発に行ってほしい」と話し、宣言を締めくくった。


ソーシャルメディアに取り組む
先進企業4社の成功事例に学ぶ


続いて、第一部として、日本コカ・コーラ株式会社の江端浩人氏をモデレータに、全日本空輸株式会社の高柳直明氏、富士重工業株式会社の鈴木曜氏、日本電気株式会社の朝火英樹氏の3人をパネリストにしたパネルディスカッション「ソーシャルメディア成功事例~広告主が語る成功の秘訣~」が開催された。

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日本コカ・コーラ株式会社
マーケティング&ニュービジネス
iマーケティング&システムイノベーション バイスプレジデント
江端 浩人氏


まず、江端氏はソーシャルメディアについて「ユーザーが情報を発信し、従来の自社メディアのように企業が内容をコントロールできないことが大きな違い」とした。同時に、昨年のWAB宣言で使われた“トリプルメディア”という言葉が「ソーシャルメディアの普及に広く役立った」と話して、トリプルメディアという言葉によってマーケティングが進化したことを示し、コカ・コーラでは日本発のトリプルメディアという言葉をグローバルで使っていることも明かした。また、2010年にFacebookが訪問数でGoogleを抜いたことがソーシャル時代の象徴とし、チュニジアやエジプトの革命のベースにFacebookやTwitterがあったことで、ソーシャルメディアが社会インフラとなっているとしている。

さらに江端氏は、eMarketer社が2011年2月2日に発表した「Social Network Ad Revenues Rising Worldwide」というレポートからソーシャルネットワーク広告費予測を示し、「2011年は世界的にソーシャルメディアが大きく飛躍する年。日本は2012年が飛躍となるかもしれないが、世界的な潮流としてソーシャルメディアに大きくシフトしていくことは、そんなに遠いことではない」と話した。

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eMarketer社 Social Network Ad Revenues Rising Worldwide FEBRUARY 2, 2011


続いて、各パネリストの自己紹介を兼ねて、各社のソーシャルメディアとの関わり方や事例についての発表が行われた。

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全日本空輸株式会社
営業推進本部 WEB販売部 リーダー
高柳 直明氏


全日本空輸の高柳氏は、北米向けに2年位前からFacebookを利用し、国内向けには2011年1月11日にFacebookページ(ファンページ)として「ANA.Japan」を開設している。「立ち上げて1か月強だが、試行錯誤しながらやっていくなかで1万人を超えるファンが付き、温かい言葉をいただいている」と話す高柳氏は、PCサイトの「ana.co.jp」は完全なECサイトで、航空券を買ってもらうことが中心のコミュニケーションだったが、単なる情報提供ではなく、コメントを貰うことでサイトとして盛り上がることができている」と話し、「ANA MEETS ARTS」という取り組みを紹介した。「ANA MEETS ARTSは、2か月に一度の頻度で若手アーティストを選び、羽田空港北ピアラウンジでの作品の展示や、Web上での紹介、機内誌『翼の王国』での紹介を行う企画。これまではほとんど認知度がなかったが、Facebookのようなメディアで紹介することで、ファンとのコミュニケーションを行えるようになってきた」(高柳氏)


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富士重工業株式会社
マーケティング推進部 宣伝課 主事
鈴木 曜氏


続いて、富士重工業の鈴木氏は、同社が行ってきたさまざまなソーシャルメディアを使ったプロモーションを紹介した。2009年7月には、mixiとのタイアップで、マイミクをつなげて道を作っていくWebゲーム「マイミクGP」を展開。鈴木氏によれば、2か月で35万人が参加し、優勝者は3万人とつながったという。

2010年7月には、Twitterを使って危険を感じた瞬間を投稿してもらうと専門家による助言を受けられる「ピンチなう!」というイベントを開催。優秀な投稿者には、危険を察知して自動ブレーキがかかる「アイサイト」を搭載した車が当たるというもので、鈴木氏は「安全訴求は重要だが、お客様にあまり受け入れられない。逆に危険を投稿してもらうことで、注目を集めた」と話した。また、2011年2月1日から開始している「SUBARU×GAINAXAnimation Project」では、従来の自動車販売プロモーションとは異なる新たなアプローチとしてYouTubeでWebアニメを展開。鈴木氏は、「一週間に再生回数が130万回くらいあり、非常に瞬発力のあるプロモーションになっている」と語った。
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日本電気株式会社
CRM本部 宣伝部 マネージャー
朝火 英樹氏


NECの朝火氏が所属するCRM本部宣伝部は、営業部内にある宣伝部隊といった位置付けで、全社のブランディングやBtoBのマーケティングを担当しているという。同部署では、2010年4月にソーシャルメディアポリシーとガイドラインを作成して社内ルールを作り、一部を社外向けに公開している。朝火氏は、「我々で認識していないところでNECのアカウントが作られている状態で、まずNECの企業サイト内に公式のアカウント一覧を掲載することから始めた。そこからグループ全社に適用する社内ルールやポリシー、ガイドラインを作ってきた」と話した。

また、ソーシャルメディアへの取り組みとしては、2010年6月に大きな話題となった小惑星探査機「はやぶさ」をあげ、「はやぶさにNECの技術が使われていることがあまり知られていなかったので、ソーシャルメディアでどれだけ認知度が上がるかを可視化してみようと考えた。Twitterをコミュニケーションツールだけでなく、分析ツールとしても使った例となる」と話し、試行錯誤しながら取り組んでいることを明かした。

各社紹介の最後として、モデレータの江端氏がコカ・コーラの取り組みについて発表。「なるべく早めにやって、消費者活用の半歩先を行くことが目標」と話す江端氏は、2007年から2010年までのさまざまな取り組みを示した。

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コカ・コーラのソーシャルメディアへの取り組み


また、今後の課題について江端氏は、「コカ・コーラ パークの会員1000万人の機会を活かしてソーシャルメディアを自社メディアと融合させて、裾野を広げたい」と話した。さらに、自社でのコミュニティ運営やコーポレートサイトのソーシャル化、ソーシャルリスニングの強化、foursquareのチェックインなどロケーションベースサービスの活用、社内のソーシャルメディアの理解促進などをあげている。


自発的にソーシャルメディアに取り組み
説明と結果を見せることで社内の理解を得る


各社の取り組みの後は、江端氏から「ソーシャルメディアを使い始めたキッカケ」という話が振られ、ディスカッションが開始されていく。

鈴木氏は、「バナー広告には個人的に限界を感じていた。大手自動車メーカーと体力勝負をしても勝てない。新たなファンとの接点や絆作りでソーシャルメディアを活用できないかと考えていた」と話した。マイミクGPの誕生について鈴木氏は、「mixiの特性を考えたときに、友達から勧められたら断れないというところからmixi用のソーシャルゲームを作ろうと考えた」という。ソーシャルゲームは、ゲーム自体を楽しむよりもコミュニケーションが目的になると感じた鈴木氏は、ユーザー同士のつながりのなかで広告が広がるゲームができると考えたのだ。「上司もmixiユーザーであったため理解を得られやすく、自動車という商材が友達からの紹介の成約率が高かったことも自発的にソーシャルメディアに取り組めた要因だった」と鈴木氏は話を続け、「広告ではなく一緒に楽しむというノリでやれたのが功を奏した」ということを伝えた。

朝火氏は、「NECとして初めてTwitterを使い始めたのは2009年11月から」と話し、「最初は企業でどのように使えるかを確かめるために、宣伝部のメンバーで個人的に使い始めた。そこで、毎年秋に行われる自社イベントのiEXPOでのお客様とのコミュニケーションでトライアルしてみようと考えた」とした。そのトライアルで「これまでのアンケートとはまったく違う次元で、自発的なお客様同士の会話とコミュニケートできる」と大きな手ごたえを感じたことを明かす。また、「上司の承認や決裁といった手段は取らず、デジタルマーケティングの施策の一環として期間限定のトライアルで行った」と話し、スモールスタートで始めて、結果を見せることで理解を深めたという。「個人的に使っているときからソーシャルメディアの有効性は感じていた。今後、BtoBにどのように活用できるかは今時点でも明確な答えを出せていないが、ソーシャルメディアは始めてみなければ何もわからないと思う」(朝火氏)

高柳氏はFacebookへの取り組みについて、「北米向けに2年前にFacebookを使い始めたときには、北米地区のANA認知度がまったくなく、プロモーション費用もない状態だった」と話し、そうした状況のなかで、どうやって海外の顧客との接点を持ち、海外発の全日空機に乗ってもらうかを考え、Facebookを使い出したことを話した。また、今後のソーシャルメディアについて高柳氏は、「北米で大きな手ごたえを感じ、日本国内向けにも展開していくようになった。航空業界全体が非常に厳しく、プロモーションにお金をかけられないなかで、ソーシャルの時代になり、トリプルメディアなどに対する新たな策もやっていかなければならないと考えている」と伝えた。

3社のソーシャルメディアを始めたキッカケを聞いた江端氏は、「いずれも代理店に言われてやったわけでなく、自発的にソーシャルメディアに向き合っている。また、社内にソーシャルメディアをわかっている人がいたということも大きい」とまとめた。

次に話題は社内での認知や施策のハードルに移った。朝火氏は、「全社的にはデジタルマーケティングやデータベースマーケティングの価値は認めていただいており、予算も下りている」と明かす。しかし、「ソーシャルメディアでどれだけ売上が上がるのか、KPIやROIといったもので計ろうとする時期が最初はあった」といい、「ソーシャルメディアは、メルマガの代わりになるものではなく、フォロワーを集めて一方的に配信するものではない。“相互理解”というテーマを掲げ、NECをもっと知ってもらうため、ユーザーの本当の声を聞くためのものとして使っている。課題は、そのための指標を早く作ることで、認識や相互の関係性の深まりなどを計れるものを作り上げたい。そのため、仮説を繰り返しながら指標を作るように試行錯誤している」と朝火氏は話した。

高柳氏は、国内向けのFacebookを立ち上げるにあたって、「3か月前は社内での認知はほとんどなかった」と話した。そのため、まず経営層にソーシャルメディアの意義について説明し、1つひとつの関連部署にも説明していったという。高柳氏のWeb販売部が発信して、顧客対応はカスタマーデスクとWeb販売部で対応するため、カスタマーデスクには特に念入りに説明を重ねていった。目的などを粘り強く説明していったおかげで、今はスムーズに連携しているというANAだが、「社内で自分たちが説明するよりも、ソーシャルメディアに詳しい人に来ていただいて話しをする場を設けた」(高柳氏)というのもポイントの1つであったという。

鈴木氏は、「社内にソーシャルメディアの理解がないと厳しいので、まずは“タダなので使ってみてください”と言って使ってもらう」と話した。また、ブランドをどれだけ顧客に合わせていくか、ということにも言及し、「ブランドとの接点を持たせるためにどれだけお客様に合わせていくかが難しい」と話し、ブランドコントロールについて社内での理解をどう得るかについて江端氏と意見を交わす。

江端氏は、「あまりお客様に近づきすぎるのも考えもの」と話し、自らの経験から「そのような議論が出た場合は、お客様に近いものとブランドを保ったものの両方をライブ版ではじめてA/Bテストを行い、ゴールを決めてどちらの離脱率が高いかなどの比較をすればよい」と説明した。また、「上層部などに理解してもらうために、どのようにしてソーシャルメディアを使ってもらうかという話はよく出てくるので、Web広告研究会として考えてみてもいいのではないか」とも提案している。


企業活動としての目的・目標を定め
社内のソーシャルメディアへの意識を高める



今後のソーシャルメディアへの期待について、最初に高柳氏は「英語サイトではフォトコンテストなどもやっているが、海外ではフォトコンテストの反応が非常によいのでナレッジを貯めて国内にも反映したい」と話した。また、国内でもマスとソーシャルが連携するようなキャンペーンをやっているが、より話題が広がるようなキャンペーンを試行錯誤しながら行っていることを明かし、自社メディアの旅行情報サイト「旅達空間」(https://tabidachi.ana.co.jp/)とソーシャルメディアとの連携を深めていくことも示した。

一方、鈴木氏は、「今後は、エンゲージメントに寄ったプロモーションなども行っていきたい」と話し、販売前だけでなく、契約後の顧客とのコミュニケーションにもソーシャルメディアを活用することを考えているという。また、予算についても、「ソーシャルマーケティングだけで予算を取るのではなく、全体のなかの最適な部分という位置付けで予算化していきたい」と語った。

鈴木氏の話しを受けて江端氏は、「ソーシャルメディアはお金がかからないという見られ方をされる。しかし、企業公式アカウントで始めたら簡単にやめることはできない。カスタマーサービスと連携して危機管理も含めてしっかりとやる必要があるし、会社としてコミットメントしないと、本当はやってはいけないのではないか」と話した。

朝火氏は、「企業としてやっていく以上、他の部署と同じゴールを目指さなければならない。話題の深さや量をどのように数値化して運用していくかを進めていきたい」と話し、ソーシャルメディア活用の指標や評価基準について取り組んでいくことを示した。また、「ブランディングやBtoBの領域でも自社メディアやコンテンツをどんどん外部に出し、ビジネスパーソンとのコミュニケーションの取り方にソーシャルメディアを活用していきたい」という期待も伝えた。NECでは、ビジネスパーソンとのコミュニケーションや情報交換に「Wisdom」というサイトを開設しているが、これらのナレッジ型の情報提供をどのようにソーシャルメディアで展開していくかが課題だという。


「社内にソーシャルメディアに対する明確なポリシーがない」と話す鈴木氏は、今後の課題として販売店との連携をあげ、「メッセージは販売店も含めた全社で統一していく必要がある。それを決める部署がない中で、どの会社もどの部署がポリシーを決めていくのかが大事なのだなと今日感じた」と話した。

それに対して朝火氏は「ガバナンスを進めるなかでポリシーとガイドラインを決めてきたが、本当の目的はソーシャルメディアがマーケティングで重要になるなかで、積極的に使っていくこと」と話し、「ソーシャルメディアに対するポリシーやガイドラインは、従来からある企業ポリシーや行動規範が基本的な原則原理となる」と説明した。「社外秘は外に出せないとか、NECの社員としてふさわしい振る舞いをしてください、というのは、オンライン上でもオフラインでも同じで特別なものではない。宣伝部が取りまとめている関係でガイドラインを作ったが、基本原則は行動規範で明確に決まっている。そのなかでTwitterやYouTubeなどのツールを使いたいというのではなく、目的を明確にしてそれがソーシャルメディアに合致すれば積極的に使っていくという意味でポリシーとガイドラインを作った」(朝火氏)

一方、「ソーシャルメディアに関係する10部署くらいで編集会議を行ってやっているが、まだ1か月くらいなので、関係部署に目立った問題は出てきていない」と話す高柳氏は、逆に「士気が上がって、良い方向に行っていると感じている」という。「今までは、さまざまな取り組みを行っても、それを情報発信できなかった。Facebookを始めてからは、情報発信を活発に行え、直にお客様から反応が返ってくる。社内の意識としてエンゲージメントを深めるという意識が出てきた」(高柳氏)

また、当日はTwitterからの質問も受け付けられ、いくつかの質問に4人が答える時間も設けられた。質問のなかには「商品のマーケッターが喜ぶような事例はあるのか」といったものもあり、鈴木氏は「キャンペーンサイトへの流入が増えるといった副次効果をきちんと伝え、お客様の生活動線のなかに入っていくことが販売促進などに少なからず役立つという説明は常にしている」と答え、高柳氏は「お客様からの直接の声が聞けることが最もよい部分とマーケッターも感じてもらっているはず」とした。また、朝火氏は「これまでのWebアンケートやヒアリングでは取れなかった本当の感想や意見が取れ、可視化できることを周りに見せていくことで理解を示してくれるのではないか」と顧客の声を傾聴することの重要性を説く。3者の意見を聞いて江端氏は、「フィードバックすることに加えて、スピードも重要。テレビの視聴率やバナーのクリック率は後になって出てくるが、ソーシャルでは盛り上がっている瞬間を可視化できることが非常に大きい。リアルタイムに盛り上がって、社内で共有でき、今起きていることが可視化されることがほかのメディアとは異なり、アピールできるポイントになる」と話した。

最後に朝火氏は、「ソーシャルメディアは、まずアカウントを取って使ってみることが重要」と話し、「代理店やメディアがいい提案を持って来ないという話をよく聞くが、それは当然の話。自社メディアとソーシャルメディアの企画は自分たちで立てなければ決まらないし、代理店から提案されたことをそのままやっても失敗する。他社の例を見ながら、自分たちで試行錯誤しなければ絶対に成功事例は出てこないし、自分もWeb広告研究会のような場で積極的に意見交換したいと思う」と話した。

また、江端氏は、「ブログをやっていないときに、人から“とりあえず6か月間毎日書いてみては”と言われ、毎日ブログを続けていたことがある。結構大変だったが、どのようなことを書けばPVが上がるのかなど、反応があるかがわかるようになる。ぜひソーシャルメディアも使ってみて、知見を貯めてほしい。個人で始めるなら匿名でもできるソーシャルメディアもあるので、そこから始めていけばよいと思う」と話し、第一部のディスカッションをまとめた。

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