2011年5月30日開催 Web広告研究会5月月例セミナーレポート(2)専門ニュースサイトに見るスマートフォンユーザーの動向 イベント報告
- 掲載日:2011年6月20日(月)
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専門ニュースサイトに見るスマートフォンユーザーの動向
第二部では、「専門ニュースサイトのアクセスから見るスマートフォン利用者と傾向」という講演を株式会社Impress Watchの代表取締役社長である小川亨氏が行った。「ニュースサイトであるため、企業サイトとは趣が異なるかもしれないが、参考になれば」と話す小川氏は、同社のアクセス解析結果を元にスマートフォンの動向を読み取っていく。
株式会社Impress Watch
代表取締役社長
小川 亨氏
Impress Watchは、月間約2億PV、UU 約1,000万以上のサイト規模があり、Internet、ケータイ、PC、AVなどの10ジャンルほどのニュースサイトが運営されているが、2010年7月から徐々にスマートフォン対応を進めている。CMSによってPC用とスマートフォン用のページを同時に作るようにし、PCとスマートフォンのサイトのドメインを別々にすることによって、ログを収集し、解析しているという。
2010年1月の読者属性を調べると、スマートフォンでは25~29歳が19.8%となっており、PCよりも10%程度高くなっている。また、同様に職業別の属性を見ると、PC版よりも営業や販売、学生といった比率が高くなっている。これについて小川氏は、「スマートフォンの母数がPC版と2ケタくらい差があるため、統計としての信頼性はない。しかし、他の年齢層が同じような割合となっているので、25~29歳のスマートフォン利用者が多いという傾向はあると思われる。PCよりもパーソナル性が高く、歩きながら閲覧できるスマートフォンでは、営業職などの割合も高くなっている」と説明する。
PCとスマートフォンのアクセスをジャンル別にランキングすると、PC版ではオンラインソフト情報の窓の杜やPC関連ニュースのPC Watchが1~2位になるのに対し、スマートフォンからはケータイWatchへのアクセスが最も多い。また、「どちらかというとUUよりもPVが上がっている傾向があるため、スマートフォンユーザーの1人あたりの閲覧ページ数が増えていると推測している」と小川氏は説明している。
アクセスする端末をiPhone、iPod Touch、Androidで比較すると、意外にもiPod Touchが10%前後と検討していることが際立つ。「専門のニュースサイトならではの傾向かもしれないが、通常の携帯キャリアの回線ではなく、Wi-Fiなどを使ったiPodなどの端末からのアクセスはこれからも増えてくると思われる。そうなったときにユーザーエージェントをどれだけ取るかが課題となり、携帯回線とそれ以外で分けるのか、OSでスマートフォンを区別するのか、ルックアンドフィールでガラケーと呼ぶのか、といった面が微妙となってくる。ただし、先ほどのコムスコアのデータではiPodもタブレットのジャンルに含まれていたので、今後の調査データもそうなると考えている。これは、企業サイトを運営する方々にはあまり関係ないかもしれないが、調査データやニュースを扱う側としては非常に気になるところだ」と小川氏は話した。
2011年4月のデータでは、PCのユニークユーザー数1,200万に対してスマートフォンは75万となり、6.1%の比率になる。同じようにページビューはPCが1億9,700万に対してスマートフォンは697万となり、3.2%の比率になる。これに対して小川氏は「スマートフォンのページビューが600万になったからといって、PCのページビューがその分減っているわけではない。3%くらいだと誤差の範囲内になるかもしれないが、今後もっとアクセスが増えていけば、傾向が見えてくると思う」と説明した。
小川氏が分析していて意外だと感じたのは、PCとスマートフォンの日別のPVが同じように推移していることだ。「会社のデスクでPCから見るのと、歩きながらスマートフォンで見るのは異なるグラフになると思った」と話す小川氏だが、2011年4月1日から5月26日までのケータイWatchのPVを見てみると、携帯電話の夏秋モデルの新機種発表があった5月16日や5月17日は両方のサイトともアクセスが増加しているという。また、Car Watchなどの他のサイトで比較してみても日別のPVが同じように推移しており、見ている人の傾向に違いはみられなかった。
ケータイWatch PCとスマートフォンのPV
Car Watch PCとスマートフォンのPV
端末ごとのユニークユーザー数を見ると、iPhoneが32.5%でシェアトップとなり、ドコモのREGZA Phone(T-01C)が12.2%でそれに続く。iPod Touchが3位に入り込んでいるだけでなく、専門ニュースサイトであるためか、発売されたばかりの最新機種もランクインしていたり、日本で発売されていない海外製の端末からのアクセスがあるのも特徴的だ。また、アクセストップ10の携帯端末で全体アクセスの8割以上のシェアとなり、市場で人気の高い端末からのアクセスがほとんどを占めるという傾向も見て取れた。
最後に小川氏は、「専門ニュースサイトではあるが、ユーザーの傾向はPCとあまり変わらず、PV数や端末数は増えている。これからもどんどん増えるだろう」と話し、「企業サイトでは傾向が異なるかもしれないが、1つの例として参考にしてほしい」と話して、講演を締めくくった。
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