「FacebookとLINEが躍進、ソーシャルメディアは一般層に広く普及しコミュニケーションツールへ」2012年12月13日開催 月例セミナーレポート(1) イベント報告
- 掲載日:2013年1月31日(木)
FacebookとLINEが躍進、ソーシャルメディアは一般層に広く普及しコミュニケーションツールへ
2010年から毎年行われている日経リサーチの「ソーシャルメディアユーザー調査」。2012年からはLINEなどの新たなソーシャルメディアも調査対象となり、それぞれの傾向や接触率について細かな分析が行われている。ユーザーは各メディアをどのように利用しているのか、ソーシャルメディアの今が明らかにされた。
先端層から一般層へと広がるソーシャルメディアの活用
2012年最後となるWeb広告研究会の第8回月例セミナーの第一部では「ソーシャルメディアユーザー調査2012」の総括が行われ、第二部ではWeb広告研究会の消費者メディアテクノロジー委員会が行ったグループインタビューの結果が発表された。2012年にソーシャルメディアへの接触がどのように行われ、ユーザーがどのように利用してきたかを深く知る2つの講演で、その実態が明らかにされた。
株式会社日経リサーチ
営業本部
ソリューション第1グループ
高尾 朋枝氏
第一部では、日経リサーチが行った「ソーシャルメディアユーザー調査2012」の定量調査結果を高尾朋枝氏が発表した。同調査は2010年から行われており、2012年の現状と3年間の推移もあわせて示されている。また、対象メディアは、Twitter、Facebook、mixi、LINE、Pinterest、GREE、モバゲータウン、Google+、Linkedinで、アンケートの総回収数1万4,938件のうち、いずれかのメディアに週1回以上書き込んでいるユーザーは4,217となっている。
この「週1回以上書き込んでいるユーザー」が全体に占める割合は年々5ポイント程度上昇し、2012年は28.2%と着実にソーシャルメディアの利用が拡大していることがうかがえる。一方で、2010年は地域間で「週1回以上書き込んでいるユーザー」にバラつきは少なかったが、2012年は広く普及はしているが、北海道、北陸、四国など大都市の少ない地域の割合が低く、差が出ている。
続いて高尾氏は、今回の調査結果の総括として、以下の4つのポイントがあると説明した。
●コミュニケーションツールとしてのソーシャルメディアの利用が広く普及し、フォロワーが増加
●FacebookとLINEが躍進し、mixiとTwitterの利用率が低下
●企業アカウントの利用が増えるも、身近な人とのコミュニケーションを重視するメディアでは企業の介入に抵抗感も
●クチコミの信頼度は低下、ユーザーは自分なりに情報を識別するスキルを身につけつつある
各メディアの利用率では、Facebookの利用率が年々上昇し、2012年は66.9%が利用。2012年から調査対象となったLINEの利用率は36.0%と、mixiに次ぐ割合となっている。一方で、2010年に67.2%と高い利用率だったmixiは42.9%と大幅に低下している。Twitterの利用率も2011年に比べて67.5%から58.7%へと低下しており、グループインタビューの発言から情報発信ツールの役割がLINEに移っていることがうかがえるという。
各メディアの利用率
他のメディアの利用率は、Google+の15.4%を除けば1割を切っており、「利用されるメディアと利用されないメディアがくっきりと分かれている」と高尾氏は話す。
地域別の利用率を見ると、Twitterの利用率は中部エリアを除きほぼ同水準であり、mixiの利用率は東北および中国エリアで高めだ。東北ではFacebookとLINEの利用率が伸びていないが、これはまだmixiの利用者が多いためではないかと高尾氏は説明する。また、Facebookは北陸、LINEは北海道の利用率が低めだとまとめ、「大都市が少ないエリアでは、利用が伸びているFacebookやLINEの普及がまだ届いていないように感じる」と分析した。
各メディアの利用率(2012年調査エリア別)
各メディアの利用頻度では、Twitterとmixiのアクセス頻度と書き込み頻度が低下していることが示された。一方で、Facebookはアクセス頻度は上昇しているが書き込み頻度はそれほど上昇しておらず、フォロワーは増えているが自分から情報発信をあまりしていないことが見えてくる。LINEは、アクセス頻度と書き込み頻度がともに高く、毎日2回以上書き込むヘビーユーザーの割合が対象メディア中で最も高かった。
携帯・スマートフォンのインターネット利用が拡大
ソーシャル以外のメディア接触調査では、テレビは3年間変わらず8割弱が毎日接触しており、ほぼ横ばいだった、しかし、新聞とラジオはまったく接触しない人の割合が上昇しており、雑誌は接触頻度が低下傾向にあるという。また、PCでのインターネット利用頻度が低下する一方、携帯電話やスマートフォンからのインターネット利用頻度が上昇。フリーペーパーなどにまったく接触しないユーザーの比率が上がっていることも示された。
ソーシャルメディア以外のメディア接触1
ソーシャルメディア以外のメディア接触2
テレビのながら視聴が減少、企業アカウントへの接触は広告経由が増加
テレビを見ながらのソーシャルメディアの利用は、2011年と比べ、Twitter(33.9%)とmixi(21.4%)が低下するなか、Facebookの利用が27.4%から34.4%へと上昇しているが、2011年のTwitter(42%)ほどではないという。また、「ながら利用」自体が減少している傾向にあり、テレビに注目する割合が高まっている結果となった。
企業の公式アカウントや公式ページの利用は上昇しているが、自分から探す割合は低下し、バナー広告からのアクセスが増えてきているという。企業の公式アカウントを閲覧する理由としては「その企業の商品・サービスの情報を得たいから」が43.1%とトップとなっている。また、公式アカウントをブロック/アンフォロー/「いいね!」取り消しなどを行った経験があるユーザーが36.5%を占め、情報量が多すぎることや興味がなくなったことが理由としてあげられている。
企業の公式アカウント・公式ページの利用状況
ステマの認識が高まり、クチコミの信頼度が低下
情報への信頼度に関する調査では、友人知人、マスメディア、メーカー、著名人が発信する情報には一定の信頼度があるが、一般人によるレビューの信頼度は全般的に低下しているという結果となった。これらは、ステマやさくらの影響で、すべての情報が信頼できるものではないと広く認識されてきたことが大きい。
ソーシャルメディアの影響で商品やサービスを利用するかどうかについては、全体的に低下傾向にあるという、これは、ソーシャルメディアをコミュニケーションツールとして位置づけるユーザーが多くなっているため、ソーシャルメディア上の情報を積極的に活用して行動したり意識変革を起こすユーザーの割合が低下しているのではないか、と高尾氏は分析する。
ソーシャルメディアの影響度
これを1日に2回以上書き込みするヘビーユーザーを対象にソーシャルメディア別に見ていくと、Facebookのヘビーユーザーがソーシャルメディアの影響で商品やサービスを利用する割合が大きく低下しているが、利用拡大とともにフォロワー数が急増する一方で、アクションにつながらないケースが増えているためだと高尾氏は説明した。
「公式ページの利用が増えているにもかかわらず、アクションにつながっていないのは、自分で公式ページを探すのではなくバナーから流入していることが関係していると考えられる。自分から探す場合は、情報を得るための明確な目的があるが、バナーからの場合は明確な意識がないことも多いため、ユーザーが増えてもその後のアクションに結びつきにくくなっている実態が見えてくる」
ツールの特徴に合わせて使い分けるヘビーユーザーの実態
続いて高尾氏は、毎日2回以上書き込みを行うヘビーユーザーの特徴と変化について解説を行う。
Twitter:情報収集やコミュニケーションなど、さまざまな目的で使われる
メディア別に見ると、まずTwitterの男女比はほぼ半々で、職業的には学生が14.2%と他のメディアよりも高い。利用者は減少傾向にあるものの、毎日アクセスするユーザーが66.8%、毎日書き込みするユーザーが39.9%と高いことがTwitterの特徴だ。
利用目的は、会ったことがない人とのコミュニケーション(70.3%)、情報収集(68.6%)、会ったことがある人とのコミュニケーション(67.2%)がいずれも高く、さまざまな目的で利用されていることもTwitterの特徴となっている。
また、フォロワーに会ったことがない人(76.6%)や企業アカウントのフォロー(56.6%)が多く、つぶやきによって商品の購入やサービスの利用をすることがある人(61.0%)も他のメディアより多いため、企業が入りやすいメディアだと言える。
高尾氏はその他にも、グループインタビューで「無意味につぶやいてほっとする」や「日記代わりにつぶやく」などの意見が聞かれたほか、匿名で利用できるため、普段口にしづらい会社の悪口などの「毒を吐く」人もいたことを明かしてくれた。
mixi:主婦層の利用率が高く、コミュニティ目的の利用者が多い
mixiのヘビーユーザーの特徴は、主婦が21.4%と高く、PCからの書き込みが49.1%と高いことだ。Facebookとmixiの利用目的は似ているが、会ったことがない人とのコミュニケーションが61.0%と高く、mixiではコミュニティを利用している人が多いことがFacebookとの大きな違いであると高尾氏は説明する。その結果、mixiでは、ソーシャルメディアを通じて友人になった人と実際に会う割合が59.8%と他のメディアよりも高くなっている。
Facebook:実名を意識した書き込みを行い、公開設定を使い分ける
Facebookのヘビーユーザーは若干男性が多く、会社員・公務員の割合も高めとなっており、有職者が多いため年収300万円以下の低所得者の割合が低くなっている。PCからのアクセス(50.5%)が高く、毎日閲覧する割合も67.9%と高いが、毎日書き込みする割合は24.2%と低くなっている。
グループインタビューでは、実名登録であるため、重たいことは書かずに当たり障りのないことを書いて「いいね!」を押す、という意見が聞かれ、公開範囲の設定を意識して主婦が子供のことを話題にする場合や、学生のソー活(ソーシャルメディアを利用した就職活動)で公開範囲の制限が行われていることが浮き彫りとなったという。
LINE:女性比率が高く、メールに代わる身近な人とのコミュニケーションツールに
LINEは、65.6%が女性で学生の比率が多いことが特徴的だ。アクセスするデバイスもAndroid(45.7%)やiPhone(32.3%)などのスマートフォンがほとんどとなっており、毎日閲覧する人(59.4%)と毎日書き込みする人(41.7%)の比率も高い。
利用目的は、会ったことがある人とのコミュニケーションがほとんど(96.4%)であることも特徴的で、フレンド数は10人未満が37.9%と最も多い。また、企業アカウントの利用(12.7%)やソーシャルメディアを通じて友人になった人と実際に会うこと(23.8%)が低くなっている。高尾氏は「身近な人とのやり取りを行うメール代わりのチャットとしての利用が多い」ためだと分析する。
ソーシャルメディアのゴールデンタイムは18時~22時
利用状況に関しては、いずれのメディアも18時から22時が利用時間帯のピークとなっており、利用シーンではTwitter、mixi、Facebookが在宅中の利用が最も多いのに対し、LINEは移動中の利用が多くなっている。
ソーシャルメディアの利用シーン
ソーシャルメディアの重複利用状況を各メディアのヘビーユーザーごとに調査すると、TwitterとmixiのヘビーユーザーがFacebookとGoogle+を利用する率が年々上昇していることが示された。また、TwitterとFacebookを異なる目的で併用していることや、mixiのヘビーユーザーのFacebook利用率が73.6%なのに対し、Facebookのヘビーユーザーのmixi利用率は49.2%にとどまっていることから、用途の似通っているmixiからFacebookへの移行が進んでいることが明かされた。
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