Digital Marketing Institute | デジタルマーケティング研究機構

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「宣伝部長がデジタルマーケティング成功の鍵を握る」2013年2月22日開催 WABフォーラムレポート 宣言 イベント報告

  • 掲載日:2013年4月3日(水)

宣伝部長がデジタルマーケティング成功の鍵を握る

「デジタル・マーケティングでビジネスを成功させるのは宣伝部長です」。第27回WABフォーラムでは、企業はWeb広告の技術を全社的に活用すべき時期にあると、2013年Web広告研究会の宣言が発表され、企業として何を認識し、実行していくべきか指針が示された。

マルチデバイス化で崩れるメディアの垣根



公益社団法人日本アドバタイザーズ協会
Web広告研究会
代表幹事
本間 充


2月22日に開催された第27回WABフォーラムでは、まず開会の挨拶としてWeb広告研究会代表幹事の本間充が登壇。2013年度からは、消費者メディア活用委員会と消費者メディアテクノロジー委員会を統合して「ソーシャルメディア委員会」と名称を改め、また新たな委員会として「Big Data研究委員会」を新設。計9つの委員会で構成されることになることを説明した。また、テーマごとに有益な情報交換が行われているため、Web広告研究会の会員は積極的に委員会に参加してほしいということもアピールしている。


続いて、WABフォーラムの前日に株式会社電通が発表した「2012年(平成24年)日本の広告費」をもとに話を進める本間は、総広告費が5年ぶりに増加しているなかで、他のメディアの伸び率(100~104%)よりもインターネットの伸び率が高い(108%)ことを指摘。1日の広告件数を考えても、Web広告は他の媒体とは比べものにならない45億件近い取引があり、IT化によって件数が拡大していることを示した。


また、1つひとつの広告を手動で展開している他の媒体に対して、IT化と自動化が進んだWeb広告のスキームを取り入れることで、他の媒体の広告展開が変革される可能性もあることも指摘している。バナー広告を自動入札する「Real Time Bidding(RTB)」の手法がインターネットだけでなく、テレビに向けた広告としても活用されるようになる可能性もあるのだ。


次に、画面サイズや縦横比の異なるタブレットなどの新たなデバイスが登場したことによって、どのようにテクノロジーを使ってWebデザインをデバイスごとに最適化するかが課題となっていると話す本間は、映像・音声・Webをすべて扱う端末の登場で、新聞・雑誌・ラジオ・テレビ・Webといった垣根が崩れていると指摘する。

デジタルマーケティングは一部門ではなく、組織的に取り組む時期にある

Web広告で培ってきた技術を他の媒体に波及でき、他の媒体との垣根がなくなってきたなかでは、Webだけでなく視野を広げていく必要があると話す本間は、2013年Web広告研究会宣言を発表する。


「デジタル・マーケティングでビジネスを成功させるのは宣伝部長です」

同宣言は、Web広告の責任を宣伝部長に押し付けるという意味ではなく、Web広告の技術を全社的なマーケティングコミュニケーションに活かすことを考える時期に来ていることを示すものだ。これらをボトムアップで実現するとしても、トップである宣伝部長(あるいはCMO)を交えて議論することが重要であると本間は説明する。Web広告の技術で他の広告ビジネスをサポートし、既成概念やルールにとらわれずに考えていくことで、広告業界全体が活気のあるものとなることを強調した。

その上で本間は、これから認識・実行すべきこととして、次の2つを示す。

1. 一部門でWebサイトやモバイルサイトを作成・運用するという時期は終焉していること
2. 組織の壁を取り払い、デジタルを企業や組織のマーケティング戦略全体で組み込み・活用すべき時期にきていること

IT化が進んでいるWeb広告の手法をどのように他の広告に活かすかを考え、そのための人材の育成と確保を考える必要があると説明する本間は、「これらについてWeb広告研究会で会社の壁を越えて考え、その考えを各人が会社や組織に持ち帰って実行していくことで、マーケティングコミュニケーション全体が活性化し、来年のWABフォーラムでは明るい顔でその成果について話し合えるような1年にしたい」と話し、開会の挨拶を終えた。