Digital Marketing Institute | デジタルマーケティング研究機構

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「鶏・豚・牛・唐揚の伝道士らが仙台の牛たんを世界的食文化へ、ソーシャルと食の相性を伝授」2013年4月5日開催 第四回東北セミナーレポート(2) イベント報告

  • 掲載日:2013年5月23日(木)

鶏・豚・牛・唐揚の伝道士らが仙台の牛たんを世界的食文化へ、ソーシャルと食の相性を伝授

仙台名物である牛たんを全国区、世界へと広めるため、セミボラ第二部では「Meet Meats Meeting」と題した「『仙台の牛たんを世界的な食文化にする』公開プロジェクト会議」が座談会形式で行われ、鶏・豚・牛らを代表するキーマンが次々と構想を発表していった。

ソーシャルメディアで牛たんを世界的な食文化へ

牛たんを盛り上げるためのさまざまな議論が行われた座談会では、鶏肉代表として日本ケンタッキー・フライド・チキンの川波朋子氏、豚肉代表として豚肉料理専門店「豚組」を経営するグレイスの中村仁氏、牛肉代表として「焼肉芝浦」を経営するFM(焼肉芝浦)の佐々木淳氏、すべての肉を代表して一般社団法人日本唐揚協会の安久兵氏が登壇。和気藹々とした雰囲気のなか、さまざまな企画・構想が発表されていった。

鶏肉代表
日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社
経営企画室
川波 朋子氏


豚肉代表
株式会社グレイス(豚肉料理専門店「豚組」オーナー)
株式会社FrogApps 取締役
中村 仁氏


牛肉代表
株式会社FM(焼肉芝浦)
広報
佐々木 淳氏


肉ならなんでも
一般社団法人日本唐揚協会
会長兼理事長
安久 兵氏

まず中村氏は「牛たんを全国区にして、いずれ世界にまで進出させるために、ソーシャルなどを使って何ができるかを考えていきたい」と話し、「食べログ」上で調べた限り、全国に焼肉店が2万6,000店あるのに対し、牛たん専門店は540店しかないことを示す。しかし、牛たんは焼肉店などでも広く食されており、単品でも立派に食事として成立するのに専門店が少ないため、市場規模はまだまだ広がる余地があるという前提で話は進められた。

中村氏は、アプリやWeb制作を行うFrogApps 取締役としての立場からも、牛たんを全国区にするためのスポークスマンとしてキャラクターが必要だと提案し、「仙台牛たん振興会」の会長が大川原潔氏であることから、急遽作ってきたというキャラクター「牛たんきよし」を公開する。


牛たんのイメージキャラクター「牛たんきよし」

中村氏は、牛たんきよしのTwitterアカウントも作成。もし、牛たんの関係者でキャラクターを気に入ってくれた人がいたなら、アカウントを譲渡してもよいと会場へ呼び掛けた。

また、今回参加した座談会メンバーのなかで、中村氏以外は午前中には仙台に到着しており、それぞれ昼食で牛たんを食べてFacebookなどに写真を載せていた。中村氏は「食とソーシャルは非常に相性がよい。自分も新幹線のなかでみんなの牛たんの写真を見て、すぐにでも肉が食いたくなった。ソーシャルにシズル感のある写真が載っていると、反応がよい」と説明すると、安久氏も「唐揚の写真はいいね!が付くが、それ以外はいいね!が付きにくい」と話す。

「キャラクターを作ることはよい」と話す安久氏は、「日本唐揚協会にも“ピヨからくん”という公式キャラクターがあり、ハローキティとコラボしたり、UFOキャッチャーの景品になったり、漫画の連載になったりするなど、さまざな活用がされている。協会の試みの1つとしてキャラクター戦略も行っている。牛たんきよしもグッズ展開し、漫画やアニメにしてクールジャパンをアピールすれば盛り上がるのではないか」と説明する。

これに続けて、佐々木氏は前職で宮崎の尾崎牛をアピールする仕事をしていた経験から、クールジャパンの一環としてシンガポールやアジアの数カ国で尾崎牛が食べられていることを話した。

また、佐々木氏は「焼肉店では、ほぼすべてのお客様が牛たんを注文している。一方で稀少部位であるため、一番最初に売り切れるのも牛たんであることが多い」と牛たんの人気と稀少性を説明する。

それに対して安久氏は、「牛たんが好きな人は多いが、多くの量を一度に食べる人はあまりいない。一方、仙台には牛たん専門店が多く、他の地域よりも牛たんを多く食べているし、地域の名産としている。他の地域よりも牛たんに対する愛は強いはずなので、素直に愛を発信していけば世界のブランドになり得ると思う。いかに愛に共感してもらうかと考えていけばよい」と話す。川波氏も、「ソーシャルメディアでも商品を愛してくださっているファンの声は非常に重要。店では聞けない声や、自分たち以上に愛してくれる声を聞くことができる」と説明する。

また、安久氏は日本唐揚協会の活動について「バカバカしいことや、みんながおもしろいと思えることをやっていくようにしている。それによって敷居が低くなり、参加している人の一体感を得られるようになると、そこに満足感が生まれてくる。くだらないキャンペーンなどもやっていけるといいと思う」と話す。

実際に日本唐揚協会で行ったキャンペーンとして2011年の「お気軽チキン総選挙」を紹介し、Facebookなどで大きく拡散されて多くの票を得たことや、現在も毎年「からあげグランプリ」を開催し、TwitterやFacebookで投票できるようにしていることを明かした。

目標は会員数1,000人以上、牛たんを愛するファンを支える団体へ

次に、座談会のメンバーは、「牛たんきよし」のキャラクターを使って何ができるかをホワイトボードを使いながらまとめていく。まずは、座談会の最中に立ち上げたFacebookページをどう使うかについて議論され、Facebookでは写真が話題になりやすいことから、主に誰でも牛たんの写真をアップできるコミュニティの場とし、牛たんに対する愛も語ってもらうといった意見が出された。

また、キャラクターは語尾に「たん♪」を付けて喋らせる、牛たん占いで親近感を得る、牛たん検定をやってみるなどの意見も出ている。Twitterに関しては、拡散力を考えれば、イベントやお得な情報を拾って発信したほうがよいという意見が出ている。

その他に、定期的なイベントも重要となると安久氏は話す。牛たんは、好きな人がわざわざお店に行って食べるというイメージだが、地域で牛たんフェスティバルなどのイベントを行い、もっと人との接点を広げる必要があるというのだ。


牛たんを広めるための構想が次々と発表されていった

ここで、仙台牛たん振興会が店舗側の協賛団体であることを指摘した安久氏は、「ファンの人たちが牛たんへの愛を育み、伝え合って拡散する環境を作ることが必要」だと話し、「牛たんきよし」のキャラクターは提供されるファン側の団体で利用したいという意見を出す。客観視しつつ、金銭が発生しない形で、素直に牛たんへの愛を伝えることが必要であるということだ。

そのような団体が生まれれば、牛たんの関連商品も売り出しやすいと話す安久氏は、「ファンの力を集結する場として団体やソーシャルがあれば、世界にアピールできると思う」と話し、たとえば牛たん愛好会の1,000人が美味いと認定した、牛たんスナックなどの発想が広がるとしている。また、牛たんは焼肉店や仙台の専門店で食べるような形以外にも、スナックや唐揚、コロッケ、ライスバーガーなどのさまざまな商品が生まれており、素材としてのポテンシャルも高いため、それらもアピールし、牛たん文化が根強く浸透してほしいと話した。

そのためには、心から牛たんが好きなファンがいなければ、ソーシャルをどんなに駆使してもにダメだという意見も出てきた。「企業アカウントでも、どんなに情報を発信しても自分自身がその商品に愛がないと伝わらない」と川波氏が話すように、牛たんを熱烈に愛しているファンが立ち上がってファン団体を作ることが重要となってくる。

続いて安久氏は、「コミュニティを作るときには重要なポイントがある」と話を進める。「自分は、日本唐揚協会を作るときに、唐揚検定に合格した人が1,000人必要だという目標を立てている。1,000人の協会員がいることで一人前の団体として認められる、という仮説を立てて活動を始めたが、実際に1,000人集めることによって、大企業でのプレゼンが通るようになり、スポンサーが付くようになってきた」と話す。牛たん好きの多さや500店舗以上の専門店があることから、牛たん検定の合格者1,000人を集めることはさほど難しくなく、認定書や免許カードなどを作って人に見せられるようにすれば、さらに検定の人気も高まるはずだと、さまざまな企画を述べた。

今回の座談会は、メンバーが買ってきた牛たん弁当やフライドチキン、焼肉芝浦の焼肉セットをプレゼントするじゃんけん大会が開かれるなど、終始和やかな雰囲気で行われた。最後に、セミナー会場へ訪れていた仙台牛たん振興会の小野博康事務局長が急遽登壇し、「ここまで牛たんのことを考えてくれて、非常に参考になった」と挨拶。牛たんの65年の歴史や現状、牛たん定食の定義を説明した後、「来週の振興会の総会で今回出たアイデアのいくつかを提案させてもらいたい。牛たん専門店は、各店ごとの味で競っているので、多くのお客様に召し上がってもらい、その違いを堪能してもらえるとありがたい」と話し、第二部の座談会を終えた。


会場ではお気に入りの肉を応援する投票も行われた。システムはWeb広告研究会 東日本大震災・被災地支援プロジェクトの阿部 淳也(ワンパク)が構築

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