Digital Marketing Institute | デジタルマーケティング研究機構

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「いまやるべきSEOとは? アルゴリズムの進化に惑わされずに成果を出し続ける3つの方法を辻正浩氏が伝授」2014年10月3日開催 第7回東北セミナー 第2部 イベント報告

  • 掲載日:2014年12月1日(月)

「検索エンジンの進化といま企業サイトが行うべきSEO」とはどんなものか。Web広告研究会の第7回東北セミナー第2部では、「はてなブログ」やハウツーサイトの「nanapi」など、数々のサイトのSEOを手がける株式会社so.laの辻正浩氏が、成果を出すためのSEO施策の具体的なポイントを明かした。

進化を続ける検索エンジン


株式会社so.la
代表取締役SEO
辻 正浩氏

多くのサイトのSEOを手がけている辻氏は、SEOのイメージは非常に悪いものになっていると最初に説明する。

一部の業者が、検索エンジンのポリシーを無視した悪質なSEOを行い、結果として、その業者にSEOを依頼した企業のサイトが検索結果の順位を落としたり、ドメインを捨てなくてはならなくなったりするなど、詐欺的SEOの被害が増加しているためだ。実際、辻氏のもとには、SEOに関する弁護士からの問い合わせも寄せられているという。

しかし、SEO自体が悪いものではない。Googleのヘルプ「SEOが必要なケース」にも記載されている通り、Googleにとっても良いSEOは推奨されるものとわかる。

「SEOは、特定キーワードの上位表示を目指すだけでなく、Webサイトと検索エンジンの相性をよくするための手法」(辻氏)

このように話す辻氏は、ここ1~2年で検索エンジンが大きく進化していると説明する。たとえば、検索エンジンで「削除不可能」というキーワードで検索すれば「削除できない」という言葉が同義と判断されて検索結果に反映されるようになっており、これまで以上にWebページの内容を検索エンジンが認識できるようになっている。

その他にも、ユーザーが検索したキーワードから、何を求めているかを高いレベルで検索エンジンが識別する例や、「グルメ」という言葉でSEOを意識した大手グルメサイトに偏った検索結果となっていたのが、さまざまなサイトが表示されるように順位付けに変化が出てきている例などを辻氏は示す。

「検索エンジンは、ページの内容を理解し、検索意図を正確に把握し、高度な順位付けを行うように進化してきている」と話す辻氏は、幅広く検索順位などのデータを見ていると、これまでの常識をくつがえす変化が起きており、状況を把握するのが難しい状態だと説明している。


悪質なSEOが排除されている

Google検索のアルゴリズムが急速に進化している理由の1つは、悪質なSEOを排除することだ。

Googleの禁止事項にかまうことのないSEO会社も多く、詐欺に近い営業活動が行われていることもある。一方、検索エンジンのアルゴリズムの進化による悪質なSEOの排除によって、悪質な手法の成功率は低下しているという。

また、はじめにも紹介されたように、悪質なSEO会社を利用して大きな失敗となる企業も増加してきており、ペナルティを受けてWebサイトの検索流入を大きく減らすなど、悪質なSEO会社による被害が増加していると辻氏は説明する。

ところが、SEO会社のなかにはSEO事業から撤退する会社も多いという。辻氏は、最近は悪質なSEOを行わないようにサービス内容を大きく変える会社がある一方、悪質なサービスを売り逃げしようとする会社もあると注意を促す。昔からしっかりとしたサービスを行っている数社は、事業を撤退することなく多くの顧客を持っており、良質なSEOサービスを展開しているという。

企業側もSEOを外注から内製に移行する企業が増加し、SEO単体だけではなく、SEOとコンテンツマーケティングなどを合わせて進める企業が増加している。これが、現在のSEOの流れだ。


いま行うべき3つのSEO施策

では、良いSEO会社はどのように探したらよいのだろうか。一般的には、検索して上位に表示されている会社を選び、ネットで評判を探して、片っ端から会って判断することがよいとされているが、これらの探し方はまったく参考にならないと辻氏は説明する。悪質なSEO会社は、検索順位の上位を獲得したり、評判を偽装することに長けており、会ったとしてもWebに詳しい人でなければSEOについて判断することはできないからだ。

良いSEOの外注先を探すには、「心から信頼できるWebに詳しい人に相談すること」だと辻氏は話す。
それで見つからない場合は、SEOを考えずにユーザに向けたWeb制作を行うという選択肢もある。「進化した検索エンジンの元では、SEOを意識せずにユーザーのことだけを考えて施策を行えば、流入を増やすことができる」ようになっていると説明する。そして、さらに検索流入数を増やしたいのであれば、自分たちでSEOにチャレンジしノウハウを蓄積していくことが重要だとしている。

実際に自社で取り組むべきSEOについて、辻氏は説明を続ける。まず、これまでは有効とされてきたが、現在は影響が少ない例として、<h1>、<strong>,<1i>などの意味のあるタグを使ってHTMLのマークアップし直すことや、内部リンクを修正して増やすといった手法を紹介した辻氏は、自身も3年前に比べてSEOの手法の比率が変わってきたことを次のように示す。


3年間で変化した辻氏のSEO施策の比率

現在のSEOは、有効な策を発見する難易度が高く、細工によって順位が上がったとしても不安定であると話す辻氏は、小細工を行うのではなく、Webサイトが持つ本来の価値を出して、Googleとユーザーにしっかり伝わりやすくすることが重要だと説明する。そのためには、次の3点が重要だとしている。

1. title要素に徹底的にこだわる
2. 価値あるテキスト情報の増強
3. 価値をリンクにする


自然検索のtitle要素には徹底的にこだわる

HTML内の<head>セクションに置かれるtitle要素は、一文変えるだけで大きな効果を得られる効率の良い手法だ。title要素のSEOでは、対策キーワードを先頭に必ず入れることが重要視されてきたが、現在はあまり順位に差は出ないという。それよりも、title要素がクリック率に及ぼす影響が最も高いことは、この10年間変わらずに重要視されており、ほとんどのサイトで改善の余地があると辻氏は説明する。なかには、title要素の表現を変えるだけでアクセスが倍になるサイトもあり、クリックされるポイントとして、辻氏は、次のような点が重要だと示す。

・長ければ良いわけではないが、可能な限り長いほうが目にとまりやすい
・自社やサービスの売りをしっかりと表示し、訴求ポイントをおさえる
・上下に何が表示されるかを意識し、差別化を図る



自社サービスの売りを訴求し、自社サイトの上下に表示される競合サイトを意識する

辻氏は、リスティング広告のtitle要素にこだわる企業は多いが、その半分も自然検索のtitle要素にこだわっていないと指摘し、自然検索のtitle要素にこだわり、改善を繰り返し行うことによって、理想の状態を維持することが重要だと解説する。ただし、まれにtitle要素を変更した後、数週間は順位が不安定になることもあるので、繁忙期などに実験することは避けたほうがよいという。

ユーザー優先で伝えるべきことを意識する

2つ目の価値あるテキスト情報の増強では、「検索が進化しても、主な評価対象はテキスト情報であるため、検索されやすい文章をページ内に設置することがSEOの大前提となる」と辻氏は説明する。そのため、ページ内のよい場所に適切な文章を書くことが重要となり、可能な限りレイアウト上部やHTMLソース上部にテキストを配置し、訪問ユーザーが読みやすくする必要がある。

だからといって、2~3年前に流行ったように、ページの最上部にグレー表示でテキストを置くといった手法は、現在はほとんど影響がなく、しっかりとユーザーの目に届くようなものでないといけない。また、そのテキストの内容は、「ユーザーの悩みが何か」を考え、「それに対してページが何を解決するか」を考えて書くことが重要だ。SEOを優先するよりも、ユーザーにしっかりと伝えたいことをテキスト情報として伝えることで、流入しやすいキーワードが多くなると辻氏は説明する。

リンクが張られた意図を考える

3つ目の「価値をリンクする」について辻氏は、リンクはSEOで極めて重要であり、リンクを買うことができなくなったいま、地道に集めるしかないと説明し、リンク獲得のリンクを集める方法として、次の4つを示す。

1. バズコンテンツを公開
2. ネットで話題になるサービスを展開
3. ソーシャルメディア活動を強化
4. 既存の価値をリンクに変える


1~3つ目までは、しっかりとした施策を行って効果を出すまでに時間がかかるが、最後の「既存の価値をリンクに変える」は、すでにあるものを少し変えるだけで、リンクになる可能性があると辻氏は説明を続ける。たとえば、小さな製品でもメーカーとして公式サイトを設けたり、商品を一覧だけではなく個別紹介をしたりするなど、企業がすでにもっている価値を工夫することでも成果を得られるというのだ。

こうした、いまある価値をリンクにするためには、まずアクセス解析を行ってリンク元URLを確認し、なぜその外部リンクが張られたのかを考えることが重要だ。流入数の多いリンク元は価値のあるリンクであるため、実際のサイトの内容を確認して、それがサービスのページであれば何に興味があるかを考えて掘り下げ、コンテンツのページであれば似た記事を増やしたり、掘り下げたりすることが考えられる。

SEOで一番大切なこととは

「いま、保持している価値を分析して、活かすことから始めてほしい」と話す辻氏は、SEOで最も大切なこととして、Googleの進化の方向性について話を続ける。Googleは、機械ではなく、多くの人間が評価するページを検索結果の上位にしたいと考えている。人間の評価をシミュレーションすることは非常に難しいことだが、Googleのアルゴリズムの進化によって近づくなかでは、「多くの人に評価されるサイトを作ることが最も効果のあるSEOとなるはず」だと辻氏は説明する。

ただし、辻氏は2つの注意点があると続ける。

1つ目は、検索エンジンが進化して人間の評価に近くなったとはいえ、まだ機械と人間の間には差があるということ。title要素などのSEOの基本はまだまだ重要であり、可能な限り検索エンジンに理解しやすい状況は作る必要がある。

2つ目は、検索流入を大きくしたいなら、購買に近い顧客候補だけでなく、潜在顧客を含めた、より多くの人を満足させる情報を提供するように考えることだ。ニッチな製品やサービスを提供している企業では、ターゲットを絞っていくことは当然の戦略だが、わずかな人にしかヒットしないコンテンツは、検索上位には表示されにくい。やはり、より多くの人に情報を提供することが重要だという。

「ユーザー第一で検索エンジンにも評価される行動を取ることを勧める」と話す辻氏は、たとえば動画コンテンツであれば、付随するテキストを追加して表示したり、SNSで話題になったときにリンクされやすいようなtitle要素を考えることが重要だと述べる。

いまやるべきSEOのポイント

「検索エンジンも1人の大切なユーザーとして考え、せっかくなら拾っていく意識を持ってほしい。SEO第一であるべきではなく、そのようなサイトは魅力がない。ただし、頭の片隅で検索エンジンは意識し続けてほしい。SEOを意識したうえで、ユーザーに向けた運営を続けていれば、検索エンジンの進化を恐れる必要はなく、逆に進化のたびに売上アップを喜べるようになるはず」(辻氏)

急速に進化を続ける検索エンジンだが、ユーザー視点で運営を続けていけば、アルゴリズムの進化に一喜一憂することなく、成果を伸ばし続けることができる。最後に辻氏はこのように述べ、講演を終えた。

第7回東北セミナー 第1部レポート

第7回東北セミナー 第3部レポート

第7回東北セミナー 第4部レポート

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