Digital Marketing Institute | デジタルマーケティング研究機構

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『「Twitter」「Facebook」「LINE」「YouTube」の4者が解説、ソーシャルメディア広告の特長』 2014年9月24日開催 月例セミナー イベント報告

  • 掲載日:2014年12月8日(月)

「広告媒体としてのソーシャルメディアを学ぶ」と題されたWeb広告研究会の9月月例セミナーでは、「Twitter」「Facebook」「LINE」「YouTube」4つのプラットフォームの特長や広告サービスの事例について、各プラットフォームの担当者が登壇して発表した。

YouTube:動画視聴の目的を把握してクリエイティブを作る


グーグル株式会社
ブランドソリューション エキスパート
中村 全信氏

グーグルの中村全信氏は、「動画広告や配信手法が盛り上がっているが、今日はYouTubeというプラットフォームを前提とした、広告配信の前の段階、動画コンテンツ自体の重要性をご紹介したい」として、グーグルが提唱する「Always On」という考え方を説明する。いつでもどこでも、ユーザーニーズが発生したホットなタイミングで、検索をはじめとしたサービスでつながるというAlways Onの考えに、今は動画が加わっているというのだ。

YouTubeの視聴状況は現在、YouTubeのホームページに来て 動画を見る場合と、ブログやメール、SNSなどで共有されたYouTubeの動画リンクURLから直接動画視聴ページの動画を見る場合の割合が半数近くになっているが、中村氏によれば、SNSの普及により、今後は動画視聴ページからのアクセスが増えていくと考えられている。

モバイルからの動画視聴はデスクトップPC を超えており、今後ますますモバイルを使った視聴が増えていくという。また、日本のYouTubeのチャンネルにおける海外からの視聴割合も増えるなかグローバルプラットフォームを意識して多言語化や翻訳を入れることも考えた方がよいと中村氏は説明する。

SNSでも動画が頻繁に活用されていると話を続ける中村氏は、TwitterではYouTubeの動画リンク付きのツイートが1分間に700回投稿され、Facebookでは、1日に500年分のYouTube動画が再生されていると説明した。

3つの動画視聴目的を戦略的にとらえる

動画のクリエイティブに話題を移した中村氏は、動画の再生回数やバズることだけを考えるのではなく、動画コンテンツに視聴目的に合わせた役割を持たせることが重要だと話し、「Hero」「Hub」「Hygiene」の3つに目的を分類して説明を続ける。


動画コンテンツが持つ3つの役割

これらの目的の異なる動画コンテンツを最適なタイミングで配信できるように戦略的に考えることが重要だと話す中村氏は、Heroコンテンツは 新商品発売やキャンペーンなどの山場で利用し、Hubコンテンツは定期的に展開してユーザーを引きつけ、利用法やTipsなどのニーズを満たすHygieneコンテンツを常に置いておくことを推奨している。


最適なコンテンツを最適なタイミングで提供する

心を揺さぶるストーリー、意外性を持ったHeroコンテンツ

Heroコンテンツは、ユーザーの心を揺さぶる感動的な動画や、意外性のあるアイデア動画であるが、頻繁な実施は難しいコンテンツだ。

たとえば、2013年カンヌのチタニウム部門グランプリの「Dove Real Beauty Sketches」は、感動を呼ぶHeroコンテンツの1つ。再生前動画広告の「TrueView インストリーム広告」と、YouTubeトップページに広告を表示する「マストヘッド」を活用し、世界で1.6億回再生、46億インプレッションを獲得し、Google+のフォロワーを27.5万人増やしたという。

YouTubeのTrueView インストリーム広告は、YouTubeの動画の冒頭に動画広告を挿入するもので、再生開始から5秒でユーザーが広告視聴の継続とスキップを選択できる。視聴選択してしばらく見続ければ視聴回数にもカウントされ、広告料金は、動画広告が30秒以内であればすべてが視聴された時点で、30秒以上であれば30秒視聴された時点で発生する。

ユーザーをつなぎとめるHubコンテンツ

Hubコンテンツには、企業に対するユーザーのマインドシェアを落とさないように、ユーザーを引きつける役割がある。

たとえば、個人のYouTubeチャンネルを開設して多くのユーザーを獲得する「YouTuber(ユーチューバ―)」が、毎日夜7時に必ず動画を更新することで、毎日数十万のユーザーからアクセスを得ているのも、ユーザーを引きつけるHubコンテンツの一例だ。

また、昨今はYouTuberと企業がコラボレーションする例もでてきている。たとえば、人気のYouTuberに商品紹介してもらえば、1日で数十万回の動画視聴を得ることも期待できるが、その“YouTuberのオーディエンスがだれか”ということも十分に考えて起用することが重要だと中村氏は説明する。いくら視聴回数が多くても、商品のターゲットに視聴されていなければ効果は期待出来ないのだ。

そして、自社のチャンネルの登録者を増やそうとする場合も、ただ単に動画広告を流すだけでなく、アノテーションと呼ばれるURLリンクで機能でチャンネル登録を呼びかけたりすることも重要だ。

Hubコンテンツの1つには、シリーズのエンターテインメントコンテンツも挙げられる。ユーザーが何度も訪れたくなるようにするためには、ターゲットユーザーの興味関心の高いカテゴリを理解して制作していく必要があると話す中村氏は、競合他社が自社にはない人気コンテンツを持っている場合は、他社コンテンツを研究することも重要だと説明する。企業自身がパブリッシャーとして、ユーザーに求められる存在になる必要があるというのだ。

ユーザーニーズを満たすHygieneコンテンツ

Hygieneコンテンツは、ユーザーの具体化した課題に応えるためのコンテンツだ。多くの場合、メイクなどのノウハウや商品のデモなどの動画である。これらはユーザーのニーズが顕在化しているからこそ検索されるコンテンツであるため、具体的なニーズを持ってその動画を見たユーザーは潜在顧客に成り得る。オーガニック検索の上位に表示される 機会を増やすためにも、動画のタイトルや説明文、タグの付け方を工夫することが重要であり、また、YouTubeの検索結果の上部に広告を表示する「TrueViewインディスプレイ広告」を活用し、さらにリマーケティングで後々商品をお勧めすることも有効だ。

たとえば、携帯電話キャリアのauは、テレビCMなどのコンテンツはもちろん、新機種の使い方などのHygiene動画を数百件掲載することで、ユーザー満足度を高めているという。他にも、YouTube専用のコンテンツを毎日更新したり、ターゲットの興味を引ききやすい動画を掲載し、その動画をターゲットにむけて広告配信することでコミュニケーションを取っている事例も紹介された。

マーケティングファネルを考えたときに、Hero、Hub、Hygieneに加えて丁寧にリマーケティングを行っていくことでブランドファンが生まれ、YouTubeの特長であるUGC(user-generated content)が作られてSNSのプラットフォームなどで拡散されていく。企業自身で 行うマーケティング活動にプラスアルファの成果が生まれると、中村氏は説明した。

YouTubeで利用できる広告

動画コンテンツの役割を紹介した中村氏は、改めてYouTubeの広告商品をそれぞれ説明していく。

前述のマストヘッドは、大型トップページバナーのフルカスタム以外にも、RMDC(リッチメディアダイナミッククリエイティブ)で時間や地域で出し分けができるものもあり、モバイル版のビデオマストヘッド、最初にアクセスした際に表示される「First Position」「InStream」などの広告もある。


RMDC(リッチメディアダイナミッククリエイティブ)


First Position

TrueView インストリーム広告については、課金された価値以上の本当の価値があると強調する中村氏は、インプレッションやクリック、動画視聴後に他の動画を見てもらえるなどの価値を換算すれば、1.2倍から5倍の価値にもなると述べる。また、YouTubeのみならず、Googleディスプレイネットワーク(GDN)でもTrueViewインディスプレイ動画広告を配信できることや、ベータ版のTrueViewアプリプロモーションも紹介された。

また、YouTubeの広告商品だけでなく、GDN独自の動画広告も用意されていると話す中村氏は、最後にエンゲージメント広告を紹介。2秒間マウスオーバーすると動画広告の再生が始まるため、偶然のマウスオーバーを極力排除した、 本当のエンゲージメントが計測できると説明した。

「YouTubeの今年のテーマはmeasurement」と話す中村氏は、ベータ版の「YouTube TrueViewブランド認知調査」などを紹介し、今後、さまざまな計測ツールを提供していきたいと講演を終えた。