Digital Marketing Institute | デジタルマーケティング研究機構

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「コンテンツマーケティングに予算の大小は関係ない、B2C・B2B・地域密着型のオウンドメディア事例」2015年10月2日開催 第9回東北セミナー 第2部 イベント報告

  • 掲載日:2015年12月1日(火)

コンテンツマーケティングがここ数年、Web施策のトレンドとして注目を集めているが、一朝一夕で成果がでるものではなく、成功もあれば失敗もある。「トレンドから実践へ。『コンテンツマーケティング』について、いま一度、振り返ってみよう」と題した東北セミボラの講演では、ベストインクラスプロデューサーズの菅恭一氏をモデレーターに、コンテンツマーケティングを実践するライオン、NEC、仙台セルバ(住商アーバン開発)の3社が、B2C/B2Bおよび地域密着型、それぞれの施策を振り返りながらディスカッションした。

B2C、B2B、地域密着型それぞれのコンテンツマーケティング施策


株式会社ベストインクラスプロデューサーズ
代表取締役社長
菅 恭一氏

ディスカッションでは、まず菅氏が「ここ2~3年でコンテンツマーケティングがトレンドとなっているなかで、うまくいっている企業とうまくいってない企業がある」と話し、企業のマーケティング活動につなげられた事例を参考にしたいと3社を紹介した。その上で、各社の担当者が概要を解説していく。

「Lidea」暮らしのマイスターが提案する生活情報メディア



Lidea


ライオンでは、生活情報オウンドメディアの「Lidea」を2014年10月に立ち上げている。


ライオン株式会社
宣伝部デジタルコミュニケーション推進室
中村 大亮氏

同社では、以前から一般消費者に対して生活情報を発信してきたため、Lideaは特別にコンテンツマーケティングを意識して開設したサイトではないと中村氏は説明する。Lideaの目的は、従来のマスマーケティングによる商品主体の情報だけでなく、顧客が知りたい情報(悩み解決)を発信し、ブランドのファン化を促進することだ。各分野のプロによるコンテンツによって、洗濯や掃除などに疑問や悩みを持っている顕在層をキャッチしていく。

「WISDOM」次の一手につながる旬のビジネス情報サイトをお届け



WISDOM

NECマネジメントパートナーの森屋氏は、NECのデジタルマーケティング戦略の全体像を示す。


NECマネジメントパートナー株式会社
デジタルマーケティングセンター
森屋 淳子氏

NECでは、コーポレートサイトと、ビジネス情報サイトWISDOMの2つのオウンドメディアを軸に、ペイドメディア、ソーシャルメディアなども活用し、さまざまなステークスホルダーとのコミュニケーションを活性化しながら、ブランドの認知向上と営業活動につなげているという。


NECのデジタルマーケティング戦略

2004年から運用されているWISDOMは、B2B領域で他社に先駆けてWebマーケティングを積極的に活用した例として注目されている。ビジネスリーダーをターゲットとして、NECと直接ビジネス接点のない潜在顧客層との関係構築と、既存顧客との関係の強化を目的に、自社の宣伝色を一切排除してビジネス情報を提供しており、会員数は70万人を超える。


「仙台セルバ」地元で愛される地域に根ざしたショッピングセンター


セルバ

仙台市泉区泉中央のショッピングセンター「セルバ」を運営受託している住商アーバン開発の吉田氏は、数年前からWebをメインの告知媒体にしようと10年前から取り組んできたことを明かす。

住商アーバン開発株式会社
セルバ事業所
吉田 久美子 氏

Webは、紙などの他媒体と比較してすばやく、多くの情報を低コストで提供できると考えたものの、地元密着型ショッピングセンターのWebサイトに、いちいちアクセスしてから来店する人は非常に少ないことに気づいたため、まず習慣的にアクセスしてもらえるWebサイトとなるようしていくための工夫を実施していった。いろいろなことを試してきた結果、SimilarWebによる調査で作成した「全国ショッピングセンター訪問数ランキング」のトップテンにランクインしているという。その他のトップテンは、複数店舗を持つショッピングセンターの総合サイトや首都圏の大規模ショッピングモールで、地域密着型で単店のショッピングセンターはセルバだけだ。


全国ショッピングセンター訪問数ランキングでセルバが上位に

これは、さまざま施策を行った結果で、店名(セルバ)の検索流入数は他の9店舗と比較して圧倒的に低く、SNS、ブックマーク、リンク・紹介からの流入が他の9店舗よりも多いのが特徴だ。定期的に訪問してもらうことを目的に、顧客の有志メンバーが生活情報を提供する「セルバがんばる部」や、4コマ漫画を定期的に掲載する「セルバ4コマ劇場」などのコンテンツを掲載し、SNSにも力を入れている。

また、3年前におもしろコンテンツ作りを得意とするバーグハンバーグバーグ(BHB)とともに行った企画、「春の弁慶フェア」も好評だったという。これは、BHBがセルバに対して、仙台とはまったく縁もゆかりもない弁慶をモチーフにしたフェアを提案し、セルバ側が困惑してプロジェクトが失敗していくというフィクションをおもしろおかしく伝えた読み物コンテンツだ。春の弁慶フェアは、SNSなどで大きな反響を呼び、さまざまなサイトで取り上げられ、Webサイトのアクセスを20倍以上と大きく伸ばしたと吉田氏は説明する。その後は、前述の生活情報や4コマ漫画の配信などの施策もあり、現在は企画実施前の2倍のアクセス数を維持しているという。


SNSやニュースサイトで大きな話題になった「春の弁慶フェア」

コンテンツマーケティングの成果と課題

続いてパネルディスカッションは、各社におけるコンテンツマーケティングの位置づけと、KPIの設定方法、成果と課題について議論を進めていく。最初に菅氏は、セルバの吉田氏に対して、春の弁慶フェアの企画をどうやって通したのかをたずねる。

吉田氏は、当時の上司が「新しくておもしろいことをやれ」と常々言っていたため、特に止められることもなく企画を通すことができ、効果についても、アクセス数とSNSのフォロー数を増やす施策だと説明したぐらいだという。企画によって大幅に増えたアクセスを、なるべく減らさない施策を行うという話もBHBと行っており、それが4コマ漫画などの施策につながったという。

NECは、営業活動などで得た名刺情報、展示会などの来場情報、WISDOMの会員情報などをデータベースで一元的に管理している。各部門が独自に保有している個人情報については、個人情報漏えいのリスクがあることなどを伝え、統合的に管理するメリットを説明し、説得していったという。

「WISDOMのコンテンツはどのようにテーマ選定を行っているのか」という問いについては、森屋氏は次のように答えている。

「お客様に満足してもらうコンテンツを出し続けるため、コンテンツの評価や感想コメントをチェックしている。PVだけでなく、読んでもらいたい顧客層が読んでいるかについても調べ、感想コメントの内容からお客様の興味がどこにあるかを把握し、次の企画に反映させている」(森屋氏)

続いて中村氏は、自身が考えるデジタルマーケティングのエコサイクルについて話を進める。Lideaでコンテンツを作り続けるだけでなく、分析もしてさまざまな施策を行い、データと施策の両方でKPIを設定する必要があると説明する。


デジタルマーケティングのエコサイクルでは、データと施策の両面でKPIを設定する

Lideaを開設するにあたっては、各生活情報のプロフェッショナルであるマイスターが、情報発信を本格的に行う施策として理解を得て企画を通すことができたが、前述のエコサイクルを回すためには、マーケティング部門から営業まで全社の理解を得る必要があるため、開設してから現在までの1年間は、社内の各部門に説明し、Lideaやデータの意味を理解してもらうことに注力した。

これから始めるなら予算の大小は関係ない

パネルディスカッションは、コンテンツマーケティングの今後と題して、事業への貢献と、これから始める企業に求められる視点について話が進む。

吉田氏は、地方のショッピングセンターがBHBと組んだことが注目されているが、事業への貢献は他の施策のほうが寄与していることが多いと話す。たとえば、生活情報を提供するセルバがんばる部は、店舗での反応が高いという。

一方で、現状はコンテンツが主婦ブログのような成り立ちであるため、今後はライフハック的なお役立ち情報を書き込むように働きかけ、ブラッシュアップしていくことが課題になっている。また、ブログとSNSは絶対にやったほうがよいと話し、SNSを活発に利用することで読まれる確率も確実に上がっていくと説明した。

続いてWISDOMの運営について、森屋氏は社内、特に営業部門に活用してもらうことを常に考えていると語った。お客様訪問時のネタにしたり、会員を調査パネルとして、現状の課題などを聞き出してニーズ把握に役立てることができることなどを説明し、社内の理解を深め、活用してもらえる体制になっていったという。

中村氏は、お役立ち情報を発信するサイトを企画する際には、現在のLideaのように地道なサイトにするのか、遊び心のある凝ったサイトにするのかで意見が分かれたと話す。その上で、これからコンテンツマーケティングを始めるのであれば、自己分析を行って自社の強みを伸ばすような方法を取ったほうが継続できると説明する。

また、地方とソーシャルの相性は良く、たとえば、番組の感想などのTwitterの投稿をリアルタイムに画面表示させるような取り組みを地方局で行った場合は、メディアと社会の距離が近いため、親近感がキー局で実施した場合とは比べものにならないくらい高くなると説明した。

これらを受け、菅氏はNECのWISDOMも試行錯誤しながら大きくなり、注目されていったと話し、コンテンツマーケティングは予算の大小は関係なく、小さなところからでも始めていってほしいと、パネルディスカッションをまとめた。

「3社の立ち位置、手法は違うが、コンテンツマーケティングをマーケティング活動全体の一部ととらえて取り組んでいるところが共通している。コンテンツが顧客と企業の間にあってコミュニケーションのハブとなって、営業や実際の店舗などのさまざまなタッチポイントに貢献している」(菅氏)


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