イノベーションを導きだす顧客インサイト手法「カスタマージャーニー体験ワークショップ」開催報告:調査委員会/カスタマーエクスペリエンスWG イベント報告
- 掲載日:2016年7月5日(火)
- 委員会・ワーキンググループ:カスタマーエクスペリエンス委員会
調査委員会では、今年度よりあらたに「カスタマーエクスペリエンスWG(ワーキンググループ)」を立ち上げ、顧客体験価値(カスタマーエクスペリエンス)を高めるための基本的な考え方や実際の顧客(ペルソナ)分析手法などについて勉強しています。今回は実践的な取り組みとして日本オラクル株式会社が提供する「カスタマーエクスペリエンスジャーニーマッピング体験ワークショップ」を開催いたしましたのでその概要をご紹介いたします。
今回のワークショップでは、あらかじめ用意された「ブランド(企業)」「ペルソナ(対象顧客像)」「カスタマージャーニー(ストーリーライン)」を3パートに分け、それぞれのパートに7~8名のチームに分かれ、ブランドやペルソナを取り巻く人、物のタッチポイント把握から始まり、顧客インサイトの導き出し、そこからブランドにおける、新しい顧客経験を提供する戦略デザインの完成までをグループワークでおこないました。
はじめに1時間弱の座学があり、カスタマー・ライフサイクルと呼ばれる、顧客がひとつの商品・サービスを購入するまでのジャーニー(プロセス)や購入したあとのジャーニー(プロセス)を理解することからはじまりました。
出典:日本オラクル株式会社
つづいて、ワークショップのテーマとなるブランド、ペルソナ、カスタマージャーニー(アクションライン)の説明を受け、ハンズアウト形式のグループワークへと進んでゆきました。今回の設定は次のようなものです。
・ブランド:カーシェアリングサービス「ZoomGo」
・ペルソナ:女性、20代後半でニューヨーク在住。ファッションブロガーでエコに興味をもっている。車の所有なし。
・アクションライン(体験ストーリー):ニューヨーク郊外でおこなわれる友人の結婚式に参加するためにレンタカーを手配する必要が発生。Web検索をしているうちにカーシェアリングのサービスを知り、利用してみることに。
※実際の人物設定やアクションラインは詳細な内容となっています。
アクションラインはサービス利用後の体験までがひとつのストーリーとして組み立てられていました。ニーズの発生→サービスの検索→検討→申し込み→利用・体験→利用後の態度変容といった一連の顧客のジャーニーを元にポストイットを活用して発散と収束を繰り返し、数分単位の作業時間を区切り、進められていきました。ペルソナが直接的または間接的にかかわるヒト・モノ・コトなどをポストイットに書き、壁に貼り出していきます。
続いて俯瞰的に全体を見渡し、事業成長につながるポイントをペルソナが一番感情的に動いたジャーニーから見つけだし、そこから導き出される新しい顧客体験のデザインをおこないました。
今回は半日という時間で、サンプルストーリーをベースに体験しましたが、顧客ニーズの分析をさまざまな観点から進め、そこからブランド(サービス)の成長に繋げられる課題もしくは機会を導きだすトレーニングは、企業主体ではなくお客様主体でブランド(サービス)を考えることの大切さを改めて認識する貴重な体験となりました。
また、ワークショップの参加者は業種・業態、職種、経験値もバラバラではありましたが、そのぶんバラエティに富んだ意見やアイデアが生まれることにもなり、Web広告研究会ならではの活気にあふれた内容となりました。
グループごとに作りあげた戦略デザインについては最後に発表をおこない、ワークショップは終了となりました。その際、数名の方には参加した感想などを発表してもらい、次のようなコメントをいただきました。
参加者の感想
・普段社内で考える施策では、ともすると“課題”にフォーカスしてしまうのだが、今回のワークショップでは課題だけではなく“現在うまくいっている部分”に着目して事業を伸長させるための施策を掘りさげることができたのでそのことが新鮮だった。
・今回は、業種・職種がさまざまな参加者が1つのグループとして課題に取り組んだが、そのおかげで多種多様な意見が出たように思う。自社に置き換えた際に、同じチーム・部署ではなく他部署にまたがって取り組んでみるのもとても有意義だと感じた。
・自社ブランドだとできない理由を考えてしまいがちだが、今回のワークショップは“思い込みや立場”を超えて発想するトレーニングになったと感じた。 一時的な体験におわらず、各自が自社の施策に活かせるヒントを持ち帰ることができた機会となりました。
なお、ワークショップ開催にあたっては日本オラクル株式会社様のご協力をいただき、全体のファシリテーション、各グループワークのコーチングなどを担っていただいたことで、スムーズな進行と有意義な内容が実現いたしました。
調査委員会では今後も参加者の体験価値が高まるような勉強会、セミナー、ワークショップを積極的に開催したいと考えております。皆様のご参加をお待ちしております。
文:Web広告研究会 調査委員会 山崎 明日花(株式会社 ドーモ)