Digital Marketing Institute | デジタルマーケティング研究機構

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「デジタル時代だからこそ大切なリアルコミュニケーションの熱量――イタリアで宮城のかまぼこが売れるまで」2016年10月28日開催 第11回東北セミナーレポート 第2部 イベント報告

  • 掲載日:2017年2月9日(木)

「真のコミュニケーションが生む継続的な関係とは」と題した第11回東北セミボラの第二部は、モデレーターとしてNPO法人 桜onプロジェクトの吉田暢氏、パネリストとして同団体の田中孝幸氏が登壇。さらに地元の宮城県から、仙台のNPO法人ファイブブリッジで理事長を務める畠山茂陽氏、マルブン食品の佐藤文行氏、斉勝商店の松田広和氏も登壇し、リアルコミュニケーションの重要性について意見を交わした。

NPO法人 桜onプロジェクト(東京)             
吉田 暢 氏  
NPO法人 桜onプロジェクト(東京)
田中 孝幸 氏 

 

NPO法人 ファイブブリッジ理事長(仙台)   
畠山 茂陽 氏  
マルブン食品株式会社(塩竈)
代表取締役
佐藤 文行 氏 

 

有限会社斉勝商店(気仙沼)
松田 広知 氏  



デジタルを上回るリアルの熱量


セミナー冒頭で「テクノロジーの話ではなく、リアルな人と人とのコミュニケーションについて話したい」と話す吉田氏は、被災地にモノやお金を送ることも大事だが、震災で亡くなった人それぞれの物語を集めて、今ある物語をつなぎ、新たな物語を生み出して未来へ贈るために「桜onプロジェクト」を立ち上げたことを明かした。

続けて、今回のトークセッションはデジタルではなく、フェイストゥフェイスのリアルなコミュニケーションの意義について考えたいと話し、登壇者を紹介する。

ファイブブリッジの畠山氏は、河北新報社に勤務しながら、個人のNPO活動も両立する人物だ。ファイブブリッジは、仙台・五橋にコミュニティスペースを作り、そこから生まれる価値やニュースの創造を促進・支援しており、「リアルなコミュニケーションは、デジタルよりも熱量が高い」と畠山氏は話す。

マルブン食品の佐藤氏は、かまぼこなどの加工食品の製造販売を行う。和食文化の衰退に危機感を抱いているという佐藤氏は、和の伝統食品がどの方向へ向かうべきなのか、情報を得るにはネットよりもリアルでのコミュニケーションが重要だと話す。

斉勝商店で鮮魚仲買を行う松田氏は、以前は仙台のWeb制作会社に勤めており、転職してからコミュニケーションの方法が大きく変化したという。気仙沼では、リアルなコミュニケーションがほとんどで、知識よりも経験や目の前で見たものを重要視すると松田氏は説明する。リアルのコミュニケーションは、直接人に会って五感をフルに使うため、デジタルでは難しい確認や相手との齟齬解消ができるという。

イタリア訪問で発見した練り物のアイデア

リアルなコミュニケーションの事例として、佐藤氏はイタリアの企業と協力して、かまぼこを販売したエピソードを披露する。

今から約400年前の慶長18年(1613年)は、伊達政宗が遣欧使節としてヨーロッパに支倉常長を派遣した年だ。石巻からサン・ファン・バウティスタ号で出帆してから400年の「慶長遣欧使節400年記念」を迎え、佐藤氏は何かをしなければならないと考えていたという。また、当時の伊達藩は、1611年に発生した慶長三陸地震によって大津波の被害に遭っており、遣欧使節が復興事業として行われていたことが、2011年の東日本大震災を経験した佐藤氏を突き動かしたという。

佐藤氏はイタリアについて知っていくなかで、キオッジャという港町が宮城県の塩竈市に非常によく似ていると感じたことを話す。地形がよく似た湾内の港町で、海の幸が豊富かつ真タラの加工品が特産であることなど、多くの共通点があるという。

塩竃市とキオッジャの共通点

イタリアに行く前から文化交流を行いたいと打診していた佐藤氏は、2015年7月に塩竈市長の親書を持ってキオッジャを訪れ、文化交流セミナーなどのイベントを行った。その際に、佐藤氏はイタリアでワインのつまみとしてかまぼこを提供したいと考え、さまざまな人と話したり、交渉したりしたという。

イタリアでかまぼこを販売しようと考えるなら、現地の人に聞くのが一番だと話す佐藤氏は、イタリアの企業に練り物のアイデアを出してもらったり、塩竈のかまぼこをオリーブオイルで揚げたりするなど、さまざまな試行錯誤を現地の人と行った。現地で直接話すことで、日本にいては思いつかないような多くのアイデアを得ることができたという。また、日本と比べて魚の加工食品の種類が少なく、漁獲されても捨てられてしまう未利用魚に可能性を感じたことも、現地だから気づけたことだという。

イタリア訪問の話を受けて同行したという畠山氏は、現地にかまぼこを持っていって食べてもらうのは、デジタルで商品を説明するよりも伝わりやすく、相手の反応もダイレクトに受け取れることを示す。デジタルのコミュニケーションも使いながら、重要な場面ではリアルにコミュニケーションすることが重要だと説明した。

リアルなコミュニケーションの場を創る

続いて畠山氏は、ファイブブリッジの活動について触れていく。河北新報社に勤めている畠山氏は、新聞が多くの人に伝わっているかという疑念を持つようになり、新聞を読んでいない人に新聞の良さを伝えることは難しく、直接会って新聞の魅力を伝える場としてファイブブリッジを10年前に立ち上げたという。

人と人とのつながりからプロジェクトが生まれ、ニュースが生まれると話す畠山氏は、ライフワーク(活動)としてファイブブリッジを行うことで、世代を超え、肩書きを外して個人と個人が向き合えると話す。

また、ライスワーク(食べていくための仕事)として、ライフワークで得たモデルケースやプロトタイプを社内に持ち帰り、さまざまな取り組みを行っていることも畠山氏は明かした。このようなリアルコミュニケーションも1つのメディアであり、ライスワークとライフワークのバランスが重要だと説明した。

 
仕事としての活動と、個人としての活動を両立

東京に比べて仙台は仕事圏と生活圏が非常に近く、30分以内で人が集まることができると話す畠山氏は、塩竈と気仙沼でそれぞれの個性があり、個性を尊重しあって、ダイバーシティ(多様性)を認めることで地域社会を育むことができると語り、自分の人生(ライフワーク)としてのミッションと、会社(ライスワーク)としてのミッションを考えながら、来場者はWeb広告に携わってほしいと説明した。

第11回東北セミナーレポート 第1部

第11回東北セミナーレポート 第3部

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