有名サイトのWeb担当者6人が明かした成果・運用の舞台裏――2016年度Webグランプリフォーラム 第6部 イベント報告
- 掲載日:2017年4月11日(火)
- 委員会・ワーキンググループ:Webグランプリプロジェクト
プロモーションサイト賞 グランプリ受賞――日清食品
企画から公開まで約3週間、消費者の声を受けたスピードキャンペーン
10分どん兵衛
http://www.donbei.jp/10min/
日清食品ホールディングス株式会社
安武 雅之 氏
日清食品の和風カップ麺「日清のどん兵衛」は、1976年に発売されたロングセラー商品。しかし、若者たちの間では「うどんやそばは自分たちより上の年代の食べ物」というイメージがあり、自分たちの食べ物だと思ってもらう必要があった。
そのため日清食品では、若者に向けて、「テレビCMの一新」「テレビCMとYouTubeの連動」「渋谷駅のどん兵衛専門店開設」「プレゼントキャンペーン」などの施策を行ってきた。しかし、これだけでは十分に若者に届いた実感がなかったと安武氏は話す。
一方で、「若者に日清のどん兵衛についてもっと話してほしい」と感じているなかでSNSに目を向けると、「レンチンどん兵衛」や「どん兵衛油そば」などの食べ方が話題になっていた。日清食品では、そのなかでもタレントのマキタスポーツ氏が「どん兵衛にお湯を入れて10分待って食べると美味しい」と紹介したことが話題となっていることに注目した。
SNSの話題はスピードが命だと考える日清食品は、2015年11月25日から話題となっていた10分どん兵衛について、12月8日に企画を提案。12月14日には撮影に入り、12月17日にサイトを公開した。
食品のキャンペーン企画はレシピ紹介が定石だ。実際、どん兵衛には「どんばれクッキング」というレシピコンテンツもあるが、今回の企画は、話題の発信元であるマキタスポーツ氏がラジオで「日清食品は10分どん兵衛を知っているのか」と話題にしたことを受ける形で企画された。
そうして完成したのが、「日清食品は10分どん兵衛のことを知りませんでした」というお詫び文が掲載された、マキタスポーツ氏とどん兵衛担当者の対談コンテンツだった。
お詫びから始まる10分どん兵衛の特設サイト
対談の内容は決め込まずに、ガチンコ対談で進められた。これも、従来にはない企画のユニークな点だったと安武氏は話す。
また、対談企画であれば動画コンテンツも考えられるが、「動画には視聴してもらうためのシナリオが必要でリアリティに欠けること」「撮影から3日以内に公開するには、動画は編集に時間がかかること」が、テキストコンテンツにした理由だった。
台本なしのガチンコ対談。10分どん兵衛の実食もその場の流れで急遽決まった
若者の会話につながる企画をスピード展開
10分どん兵衛のサイトを公開した結果、Webニュースで大きく取り上げられ、Twitterでの話題量が3.8倍となった。また、無関心だった若者がどん兵衛に興味を持ち、実際に試して品質の良さに気づくきっかけとなり、施策直後の週末にはどん兵衛が売り切れる店舗も出てきたと安武氏は説明する。
売り上げにもつながり、キャンペーン実施後の2016年1月と2月の売り上げは、前年と比較して150%を達成した。
日清食品はその後、10分どん兵衛を皮切りに、さまざまな企画を立ち上げ、2016年の1年間で12本の施策を行っている。
「若年層の興味が多様化するなかでは響くポイントもさまざまです、一貫性にはこだわらずに、多様な切り口で話題を提供しています。トータルでどん兵衛が話題になっていってほしいと考えています」(安武氏)
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