Digital Marketing Institute | デジタルマーケティング研究機構

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「Webグランプリ」受賞企業が語るサイト制作の裏側――2017年度Webグランプリフォーラムレポート(2) イベント報告

  • 掲載日:2018年3月29日(木)
  • 委員会・ワーキンググループ:Webグランプリプロジェクト

企業Webサイトの担当者らが互いのサイトを相互審査するWebグランプリ「企業グランプリ部門」。Web広告研究会が2月27日に開催した「Webグランプリフォーラム」では、「企業グランプリ部門」を受賞した企業が、受賞サイトの目的や狙い、企画立案の経緯、公開後の結果と評価などについて明らかにした。

2017年度のフォーラムでは、受賞者のなかから、サントリーホールディングス、日本財団 、KDDI、コクヨ、雪印メグミルク、三菱自動車工業の6社がプロジェクトの裏側を語った。

 

ソーシャルサイト賞 グランプリ――「みんなのケータイ図鑑」KDDI
ファンの声に耳を傾け、期待を超えるコンテンツで心を動かす



https://time-space.kddi.com/ketaizukan/minna.html

ソーシャルサイト賞を受賞した「みんなのケータイ図鑑」は、一般の人が持っている過去のケータイ端末の写真と思い出の投稿をまとめたサイトだ。KDDIのオウンドメディア「TIME & SPACE」のコンテンツとして公開された。

TIME & SPACEは、「IT×カルチャー」をテーマに、広くITに関心がある生活者に向けて、商品の直接的な販促ではない、お役立ち情報や人に言いたくなる情報を発信している。

「通信会社はどこも同じと思われているなかで、お客様の期待を超えるコンテンツを発信して、お客様に身近な存在、ワクワクを感じていただける存在になりたい」と、西原氏はオウンドメディアの目的を語る。


KDDI株式会社
西原 由哲 氏

「みんなのケータイ図鑑」誕生の経緯は、2016年に企業BtoCサイト賞グランプリを受賞した「おもいでタイムライン」にさかのぼる。おもいでタイムラインでは、ケータイ誕生から30年間のできごとを、「ニュース」「流行の音楽」「流行語」などとあわせて紹介した。

「画像のクリックなど、ユーザーの反応を見ると『ケータイ』への反応が非常に大きかった」と西原氏。そこで、ケータイだけの30年の歴史を見せる「ケータイ図鑑」を公開した。サイト制作時には、社内にある端末を探し、自分たちで写真と動画を撮影したという。

ケータイ図鑑を公開すると、サーバーがダウンするほどのアクセスがあった。さらに想像していないことが起きる。ユーザーが、自分の持っている古いケータイの写真をTwitterなどにアップし始めたのだ。

「お客様の熱量を感じた。そこでお客様の持っているケータイの写真をアップしてもらってコンテンツ化したのが『みんなのケータイ図鑑』だった」(西原氏)


「みんなのケータイ図鑑」立ち上げまでの流れ

みんなのケータイ図鑑を公開すると、写真とともにケータイにまつわる思い出が綴られた投稿が700件近く集まった。

「自ら写真をアップしてくれる行動、綴られる思い出の1つひとつがケータイ愛に溢れていて、本当に嬉しかった。社内のプロダクト担当にも共有したところ、喜んでくれた」(西原氏)


リアルイベント「おもいでケータイ再起動」へ

西原氏はさらに、「このコミュニケーションを双方向の深いつながりにしたい。単発施策ではなく、熱量を継続させることで、好意、ファンを生み、それが企業としての資産になる」と考えた。

そこで、歴代auケータイの1位を決める「おもいでケータイグランプリ」を開催。1位を獲得した機種をモチーフにしたヘッドセット、加湿器、スピーカーなどを特注で製作し抽選でプレゼントした。当選者の喜びの声は、TIME & SPACEの記事にもなっている。

これらの企画を通してわかったことがあった。使わなくなったケータイを持っている人が多いこと、そして、その多くは電源が入らないということだ。

こうした状況を受けて、新たな企画としてリアルイベントの「おもいでケータイ再起動」が開催された。


https://www.au.com/all-for-you/omoidekeitai/

イベントでは、KDDIの社内に3台しかない「テスター」という特殊な装置を使ってケータイの再起動を試みる。再起動に成功したら、ケータイに残った思い出の写真をプリントして提供した。au以外のケータイでも無料で対応する。

「充電した後ドキドキしながら電源を押し、起動した瞬間にみんなが笑顔になる。そしてケータイから亡くなった奥さんの写真、卒業式の写真、かわいがっていたペットの写真など、それぞれの人にとっての大事な写真がでてくる。イベント会場はとてもあたたかい空間になった。今後も全国に広げていきたい」(西原氏)

西原氏は今回の施策について、「ホットになったお客様の熱を継続して資産化した。ファンの居場所をソーシャルでもリアルでも作った。資産化すると次の掛け算ができる」と振り返る。ユーザーの声を次々とアイデアにつなげてきたが、今後もユーザーの期待を超える心を動かすコンテンツを通して、お客様とつながる身近な存在でありたいと強調した。


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企業BtoBサイト賞 グランプリ――「DAYS OFFICE」コクヨ
「わかりやすく」「楽しく」「買いやすい」にこだわった、理想のオフィス環境作りが楽しくなる家具のブランドサイト



http://www.kokuyo.jp/days

企業BtoBサイト賞を受賞した「DAYS OFFICE」は、同オフィス家具シリーズのブランドサイトだ。新しいワークスタイルの環境作りを、デザインと機能性の両面からサポートする。

「働き方改革」の追い風を受けて今、オフィス家具を含むオフィス環境への関心が高まっているという。働く場所も、カフェやシェアオフィスなどに広がり、「オフィスに必要なものはコミュニケーション。部門を越えたコミュニケーションができ、仕事に合わせた場所が選べることに価値がある」と島崎氏は話す。


コクヨ株式会社
島崎 雄大 氏

企業でオフィス環境の整備を担当するのは、多くの場合、総務担当者だ。しかし、彼らが懸念することとして、デザインされたオフィス環境を整えるには時間と費用がかかることがある。

DAYS OFFICEでは、「オフィスに居心地のよい空間を簡単に」をコンセプトに、家具を置くだけで居心地の良い場所が作れるホームライクなオフィス用家具を展開する。置き家具だけで空間をデザインするため、大がかりな内装工事と比べて工期や費用を抑えられるのが特徴だ。

Webサイトでは、オフィス家具を身近に感じてもらうこと、さらに家具を楽しく選んでもらうことを目指した。そこでWebサイトには、2つのページを用意した。身近に感じるビジュアルイメージを使った「ストーリー」と、わかりやすく楽しみながら選べるシミュレーターを使った「プロダクト」のコンテンツだ。


DAYS OFFICE のWebサイトが目指したこと

「トップページは、ワークとライフがボーダレスになったようなイメージ画像、さらに女性ワーカーの1日の働き方を画像メインで伝えて、親近感を持ってもらうようにした」(島崎氏)

プロダクトでは、選ぶ楽しさを意識した。「家具を選んで、色をクリックするとプレビューが表示され、自在に変更できる。選ぶ楽しさとわかりやすさを実現したかった」(島崎氏)。

商品それぞれにプリントアイコンを用意して、社内決済時の資料としても使いやすくした。一方で、SNSのシェアボタンを用意しておすすめしやすくしたりするなど、BtoCでの体験や選びやすさも意識している。

さらに、選んだ家具ページからAmazonにリンクしているため、金額、納期を確認したうえで購入できる。「選びやすい、おすすめしやすい、買いやすい」がこだわりだ。


BtoCの利用も想定しており、気になった商品はすぐに購入やシェアができる


素材は1000点以上、地道な作業の繰り返し

サイト制作は簡単ではなかった。特に労力がかかったのが家具の画像制作だ。1,000点以上を制作するために、もととなる写真をレタッチしてカラーバリエーションにあわせた画像を用意していく。作成した画像は、紙に印刷して別拠点の商品開発メンバーに色のチェック(色校正)をしてもらうため、何度もやり取りした。

完成した画像をサイトにアップしたら、表示情報、条件分岐、色の選択と画像のリンクなどをすべて手作業でチェックする。「今回評価いただいて、これまでの苦労が報われた」と島崎氏は語る。

成功の理由について、「ページの構成、シミュ−レーターを含むUXを担当するメンバーがいて、チームDAYSがディレクションを行う。一気通貫で制作することで作り手の思いが現れた」と島崎氏は話す。

グランプリ受賞後も改善が進められている。

「ストーリーとプロダクトのコンテンツに隔たりがあったので、その間にコンセプトページを作成してDAYS OFFICEのこだわりを6つにまとめて紹介した。また、総務担当、経営層などの困りごとをコンテンツにして、親近感や顧客メリットを伝えている」(島崎氏)

シミュレーター機能も好評で、実装後にはサイトのPVとUUが急増した。さらに昨年末以降、問い合わせ数も急増しているという。

今後、目指していく目標として、「販売会社や社内でも使いやすいしくみ」や「お客様の声を伝えること」を島崎氏は挙げる。また、誰でも簡単に家具のレイアウトが作れるアプリも用意したので活用していきたいと語った。

 

2017年度Webグランプリフォーラムレポート(1)

2017年度Webグランプリフォーラムレポート(3)

 

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