営業畑からいきなりコミュニティ運営チーム立ち上げ!? そんな私が半年でやった3つのこと【プレイド平岡氏】2019年9月24日開催 月例セミナーレポート(3) イベント報告
- 掲載日:2019年12月18日(水)
オンラインサービスの利用者向けコミュニティチームの立ち上げを任されたプレイドの平岡氏。まずは「7P」の設定・再定義に着手し、さらに「整える」「濃くする」「広げる」という3つの方針から、コミュニティ運営の方向性を固めていった。
公益社団法人日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会(以下、Web広告研究会)は9月24日に月例セミナーを開催。「コミュニティ型へシフトするソーシャルメディアマーケティング」というテーマのもと、第3部ではプレイドの平岡志織氏が登壇し、コミュニティチーム立ち上げ時における自己の体験を語った。
営業畑から新規発足のコミュニティチームへ
株式会社プレイド カスタマーエクスペリエンスデザイナー 平岡 志織 氏
プレイドは、サイトやアプリの訪問者データをリアルタイムで可視化するCXプラットフォーム「KARTE(カルテ)」を提供する企業。営業畑だった平岡氏がコミュニティチームとなり、KARTEの利用者向けコミュニティ(通称KARTE Friends Community)の運営チームを立ち上げることとなったのは、2019年4月のことだった。プレイドでは、社員も利用者も同じ立場で“良いCX の実現を目指す同志”と位置付けており、ユーザーではなく、親しみを込めてKARTE Friendsと呼んでいるとのこと。
そしてコミュニティチーム立ち上げ時における自己の体験を紹介。「これからコミュニティを立ち上げるという人は、ぜひ参考にしてほしい」とその意図を説明した。
KARTEは2015年に一般公開され、コミュニティ自体は、2017年から不定期でミートアップ(集まり)を開催していた。しかしその当時は、会社として正式なミートアップ運営体制があったわけではない。そこで2019年4月にコミュニティチームを新たに発足。営業畑だった平岡氏が、もう1名のメンバーとともにチーム構築を任された。「何をしてもかまわないといわれたが、逆に何をしたらいいのかがわからない状態だった」(平岡氏)。
まずは「ありとあらゆる場所からインプット」、そして「7P」の定義へ
そこで、情報のインプットに注力した。まずは“手がかり”を増やすために、手当たり次第に、
・コミュニティマーケティング
・ワークショップ
・イベント
などに関する書籍を読んだという。
続いて、実際にコミュニティを運営している担当者などから話を聞き、コミュニティのフレームワークである「7P」を教わった。「KARTE Friendsにとっての7P、プレイドにとっての7Pを定義・再設定することがスタートだった」(平岡氏)。
・コミュニティのフレームワーク「7P」
1. People → 参加メンバー
2. Purpose → コミュニティの存在意義
3. Place → 集う場所
4. Participation → どんな参加方法があるか
5. Promotion → 拡大の方法
6. Policy → ルール
7. Performance → 成功の指標
「整える」「濃くする」「広げる」という3つの方針を明確化
そのうえで、コミュニティチームによるミートアップ運営において、以下の3つの方針を明確にした。
1. 整える → だれでも運営できるように、ミートアップのパターン化(型化)
まず大切なのは、開催とスタイルの「型」をつくっていくこと。基本は次の2種類だ。
・定期的なミートアップ:
30~50名程度
月1回のペース
全ユーザーが共感できるテーマ
・分科会:
15名程度
週1回のペース
よりエッジの効いたテーマに絞る
これによって、ミートアップの運営に慣れていないチームでも開催回数・頻度を上げられるようになった。
さらに、各ミートアップの当日のプログラム構成も「型」をつくった。次のようなものだ。
・セッション
・グループワーク
・新機能紹介
・懇親会
こちらも、慣れていないチームがスムーズに運営できるようにする効果もあるが、それだけでなく、“情報を聞くだけの受動的なセミナー”からの脱却を目指したのだという。
「30~50名という人数は、コミュニティチームの2名でちゃんと目が届く人数、ということから逆算で設定した」(平岡氏)。
ノウハウやナレッジは情報共有プラットフォームの「esa」にストックし共有できるようにしている。またミートアップをプレイドの社内スペースで開催するとともに開催予定を社内で共有することで、社員のだれでもミートアップに参加しやすくした。
2. 濃くする → コアユーザーの定量的・定性的な発掘
次に大切なのは、コミュニティを運営するだけでなく、より濃い場にするための動きだ。
KARTEのコミュニティをより活発にしてくれそうな参加者を集めるために平岡氏は、BIツールの「Looker」を使って、KARTEの管理画面や機能の利用状況などを集計・ダッシュボード化した。KARTEの利用状況をデータで確認することで、ログイン回数が多い人などにアプローチする動きだ。
一方、ミートアップの現場ではいろんな職種・メンバーへ積極的に話しかけた。
「こうした情報を、定期的に社内向けSlackに投稿し、全体で共有するとともに情報をストックしていった。さらに情報はesaにも集約し、情報密度を高めた」という平岡氏。「こんなにKARTEをよく使ってくれている方がミートアップに来てくれている」ということを社内のさまざまな人に知ってもらう“今日のオススメFriends”といった発信も行い、社内も巻き込んでいった。
3. 広げる → 外部サービスを使ってのオンラインコミュニティの本格運営
運営のペースをつくり、コミュニティとして良い場になるようにしたら、さらに拡大していきたい。平岡氏は、オフラインでミートアップを開催するだけでなく、オンラインにもコミュニティの場をつくり、KARTE Friendsに参加してもらうようにしていった。
「とはいえ、オンラインオフライン問わず、コミュニティは一度始めたら簡単にやめるわけにはいかず、やり直しも難しいので、正直不安もありました。そうした背景もあり、現在では、リアルイベントに来た方にのみオンラインコミュニティを案内している」(平岡氏)。
さらに、コミュニティに参加しているKARTE Friendsに、コミュニティチームやプレイドへの親近感をもってもらうために、オンラインでは
・“お勧め社員”の紹介
・コミュニティチーム内の会話の公開
・動画
・ノベルティ
などにトライしている。こうしたことには、「Facebookグループなどでも、最初のいいね!を押すのは少しだけ勇気がいる。そのハードルを下げる狙い」(平岡氏)もあるのだという。
初めて立ち上げたコミュニティが半年間の動きで活発化していったいま、次にどんな動きをしていくのだろうか。平岡氏は、今後について、
・イベントレポートなどアウトプット物の見直し
・さらなる人数/輪の拡大
・オンラインコミュニティの安定稼働
を目指すとして、講演を締めくくった。
◇ ◇ ◇
【コミュニティチームの新発足でまずやったこと】
・ありとあらゆる場所から、情報をインプット
・実際にコミュニティを運営している担当者などからヒヤリング
・「7P」の設定・再定義
【コミュニティチームによるミートアップ運営における3つの方針】
・整える
・濃くする
・広げる
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