2010年5月31日開催 Web広告研究会5月月例セミナーレポート(1) 乖離する企業とユーザーのインターネット環境、ソーシャルメディア時代の課題とは イベント報告
- 掲載日:2010年6月17日(木)
- 委員会・ワーキンググループ:コーポレートブランド委員会
2010年度 第三回Web広告研究会月例セミナーレポート
乖離する企業とユーザーのインターネット環境、ソーシャルメディア時代の課題とは
5月31日、Web広告研究会の第三回月例セミナーが開催された。今回は、Web広告研究会の中でも企業の広報担当者が多く集まる企業広報委員会が行った「第3回 企業内Web閲覧環境に関する調査」の報告を第一部で行い、第二部ではその報告結果を受けて企業の最適なインターネット環境とは何か、それがWebマーケティングに与える影響は何かという議題でトークセッションが行われた。今回の調査報告およびトークセッションは、企業におけるインターネット視聴環境の“今”を知り、今後どのような視聴環境が求められているのかを知る充実したセミナーとなった。
第一部 30%以上の大企業で動画共有サイトを視聴できず~第3回企業内Web閲覧環境に関する調査のご報告~
大企業ほどWebサービスの利用を制限している
株式会社日本ブランド戦略研究所
代表取締役 榛沢 明浩氏
第一部は、日本ブランド戦略研究所の代表取締役である榛沢明浩氏が登壇し、「企業内Web閲覧環境に関する調査」の報告が行われた。企業広報委員会では2005年と2007年にも同様の調査を行っており、今回が3回目の調査となる。調査報告は、「Webページの閲覧環境」「メールの送受信環境」「プラグイン/アドオンの利用」「動画の視聴環境」「今後実施を予定・検討していること」の5つに焦点をあてて行われた。
企業内のWebページの閲覧環境では、OSはWindows XPが85%、ブラウザはIE6が51%を占め、一般ユーザーに比べてWindows XPやIE6の利用率が高く(株式会社サムライファクトリー「OS・ウェブブラウザー国内シェア調査」を参照)、ディスプレイ解像度は徐々に大画面に移行しているものの依然としてXGA(1,024×768)が多いことが報告された。ブラウザについては、大企業ほどIE6の利用率が高く、企業内では自由にWindows Updateができないことや、社内システムがIE6前提で作られているために入れ替えが難しいことが影響しているという。
社内でもっとも多く利用されているインターネットのブラウザ<単数回答>/Webページ閲覧可能企業ベース
また、Webページの閲覧は未回答を除くすべての企業で可能だったものの、3分の2の企業が何らかの形でWebページ閲覧のフィルタリングや制限を行っており、大企業ほど実施率が高いことや、インターネットオプションのセキュリティレベルが高くなる傾向にあり、大企業ではセキュリティレベルを「カスタマイズ」しているケースが多いことも発表された。今年度から調査に加えた、動画共有サイトやSNSなどの利用状況についても、大企業ほど閲覧が制限されており、従業員規模5000人以上の企業では半数以上が動画共有サイトやSNSを利用できない結果となった。
社内で利用可能なWebサイトの閲覧、サービス<複数回答>
全体では80%以上の企業が個人ブログなどを利用できるが、動画共有サイトは70%程度。5000人以上の規模の会社では、動画共有サイトやSNSが利用できる割合が50%以下になる。
メールの送受信環境については、大企業ほどメールボックス容量や1通あたりのメール容量が小さい傾向にあった。これは、限られた資源を有効活用するためであることが考えられる。また、3分の2の会社がフィルタリングや制限を行っていること、HTMLメールを受信してそのまま表示できる企業は半数以下であることが発表された。
プラグイン/アドオンの利用に関しては、Adobe Flash PlayerとWindows Media Playerは90%以上の会社で利用可能であり、Flashは比較的新しいバージョンがインストールされており、PDFも新しいバージョンの割合が増加しているものの、大企業ほど古いバージョンを使う割合が増える傾向にあることが報告された。また、プラグインやアプリケーションのインストールの自由度は2007年と比べて減少し、企業全体でシステム管理者や運用規則による制限が行われる傾向にあるとした。
動画の視聴環境は、動画を見て音声も聴くことができる会社が85%を超えており、大企業でも動画を視聴できる割合が高いことが報告された。
今後実施を予定・検討していることについては、OSのバージョンアップ(Windows 7など)やブラウザのバージョンアップ(IE8.xやIE7.x)と回答した企業が多く、中小規模の企業ではセキュリティ強化や閲覧環境制限への取り組み、大企業では多くの企業がインターネット接続速度の改善への取り組みなどの施策を考えていることが明らかにされた。
これらの第一部の調査報告を受け、第二部では利用できるWebサービスの制限やセキュリティ制限などについて活発な意見が交わされ、今後の企業の取り組みに対しても多くの提言が行われることとなった。
■第二部 いま最適な企業のインターネット環境とは
~企業のセキュリティー重視のインターネット環境は、Webマーケティングの習熟を鈍化させるのか?~